NBonline『【わかるかも中国人】(17)写真で見る「格差」不感症大国、中国』から。
2000万人の「上海人」の中に数百万人もの出稼ぎ労働者がいることは、普通に考えたら相当な社会的ストレスのはずだ。ところが、上海人と話をしていて、そんなふうに感じることは少ない。出稼ぎ労働者の存在が日常化することで、かえって意識の外に置かれた不可視の存在になる。それが「格差」不感症の構造だとも言えるかもしれない。
上海市内をタクシーで走っていると、農村出身の労働者が大通りの真ん中をふらふらと歩いている光景によく出くわす。同乗していた上海人は呆れ顔で言う。「見てよ。あれ、危なっかしくてしょうがない。どうせ信号もない田舎から出てきた連中だろう。困ったもんだよ。上海人が田舎者を馬鹿にしたくなる気持ちも分かるでしょう、ねえ」。