BPnet「田原総一朗:派遣首切り問題の根っこにあるもの」から。
法律的には正社員ではない派遣労働者の首を切ることは何ら問題ではない。しかし、企業は、派遣社員に何ら触れることなく、切られた派遣社員たちがその後どうなるのか、住むところはどうなるのかということに何の責任を持つこともなく、何も感じることもなく切ってしまうというのは、やはり一番大事な部分が抜け落ちている。
大みそかの番組には、経団連の事務局でもいいから出ろと出演依頼をした。すると「テレビに出る義務も責任も無い」と返ってきた。まるで社会的責任がないというような言い方をしている。「自分たちは別に派遣労働者の首を切ったわけではない。切ったのは派遣会社だ。俺たちは関係ないんだ」と言わんばかりだ。こんなことがまかり通っているようでは、今に失業者はどんどん増えていき、下手をすると暴動になりかねない。大きな社会問題になりかねないという怖さを感じている。
NBonline「雇用調整の合理性崩れる 矢面に立つ自動車メーカー、対応に苦慮」から。
「派遣従業員の解雇は一義的には派遣元の会社が行っている。それでも派遣先である我々に批判が及ぶ状況は理解できるが、生産台数が激減している以上、会社が傾くまで雇い続けることはできない」――。
2008年末の段階で、約200人の非正規従業員の雇用契約を打ち切った日産ディーゼル工業の竹内覚社長は、日経ビジネスのインタビューにこう語った。
「第165回国会 予算委員会 第3号(平成十八年十月十三日(金曜日))」から。
○市田忠義君 私は現実をもっと直視していただきたいと。NHKのワーキングプアをごらんになったんだったら、どういうあれを見て感想を持ったかというのを自分の言葉で語っていただきたかったというふうに思うんですけれども。
あれは派遣や請負で働く人々に共通する姿であって、例外じゃないんですよ。例えば、神奈川県内の自動車メーカーで派遣労働者として働いている人、時給は千二百円、工場のラインで塗装の傷やほこりを点検する仕事、昼間は八時から十七時まで、夜は二十時から翌朝の五時までの勤務が一週間置きに組まれる。時差ぼけから疲れが取れない日々が続いたと。仕事が遅い人は容赦なく首です。月収は二十万円。何か一見高いように見えるけれども、派遣会社が管理している三LDKの寮に三人で共同生活です。給与から寮費が五万円引かれる。布団代、共同使用の洗濯機、冷蔵庫、テレビの利用料で一万円引かれる。水道光熱費で一万円引かれる。そして、所得税や社会保険料引かれると、手取りはわずか十万円です。ある日、四十度の熱で寝込んだら、派遣会社からマスクをしてでも仕事に行けと、そう言われたと。ついに倒れたら、もうおまえは要らないと、寮から出ていけと。新たにアパートを借りるお金もなくて、この人はホームレスになったと。日本を代表する大企業の生産現場でこういう働かせ方が広がっている。総理は異常と思われませんか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、もちろん労働基準法に違反する働き方をさせているのであれば、直ちにそれは法の執行をしなければならないと、このように思うわけでありますが、いずれにいたしましても、いわゆるワーキングプアと言われる人たちを前提に言わばコストあるいは生産の現状が確立されているのであれば、それはもう大変な問題であろうと、このように思います。
言わば非正規の方々も正規への常にチャレンジができるという状況をつくっていくことにおいて、企業も積極的に向かい合うことによって、むしろ長期的、中長期的には企業の私は基本的に信頼感は高まり、また基本的には活力も高まっていくのではないかと思います。