from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

対少数民族政策の失敗

JMMふるまいよしこ:騒乱の本質」から。

広東省の韶関ですでに約1万人が働く工場を持つ香港出資の「旭日玩具」社が、今年5月に新設した工場に350人あまりのウイグル人労働者を雇い入れた。同社ではその新工場のために5万人の求人を予定していたそうで、労働者たちは会社の寮で共同生活をしていた。そこで6月25日夜半、漢人ウイグル人の間でけんかが起こり、両者入り乱れての大乱闘に発展。政府の発表によると、その結果百人以上がけがをし、ウイグル人二人が死亡したという。当局はその後、事件の発端がインターネットに書き込まれた「ウイグル人漢人女性に性的暴行をはたらいた」というデマであり、その書き込みをした漢人容疑者を逮捕して、事件は一応の収束を見たことになっていた。
ただ事件を読み返して不思議なのはそれほどの事件がおきながら、工場側からはなんのコメントも出ていないこと。そして、なぜその工場が工場地帯の同地においても決して一般的とはいえない、4千キロも離れたウイグルから労働者を雇い入れるという方法を取り、また中国の常識から考えても決してスムーズにいくはずがないのに大量の中国人と一緒に働かせたのか。雇ったのが一人二人ではなく、これほどまでの大規模なグループとなれば行き当たりばったりでできることではないし、すでに1万人を雇用してきた経験を持つ会社なので現地事情に疎いという理由もありえない。さらに中国では一般的にこう事件が起こった場合、社会に不安ももたらしたという理由で企業管理者がその管理責任を問われるものだが、この事件ではそういった話は流れてこない。
もひとつ時節柄ひっかかったのが、それが「広東省に進出した香港の玩具メーカー」だったということだ。香港は昔から世界中に市場を持つ名だたる玩具生産基地である。もともとは香港で生産が行われていたが、中国のコスト安に目をつけてすでにほとんどの玩具メーカーが中国に工場を移して、海外輸出を行っている。しかし、昨年初めからすでに欧米の経済不況で海外からの注文が激減し、一番打撃を受けているのがそんな「広東省に進出した香港の玩具メーカー」だといわれているのである。
そこに5万人の雇用者を抱える工場の新設。まだ欧米経済が本調子に戻ったわけではないこの時期の同社の拡張は、その資金の厚みを示すものだろうが、だからといって以前のように大盤振る舞いができるわけがない。輸出不振でやはり打撃を受けている広東省の政府はそんな資金力を持つ企業に当然支援の手を差し伸べただろう。そこでその「支援」の一環としてすでに賃金体系がある程度確立している漢人労働者ではなく、今まさに行政主導による労働力「輸出」を進めている新疆ウイグル自治区からの新規労働者のあっせんを行ったのではないか。

NHKクローズアップ現代ウイグル暴動 〜中国の“誤算”〜」。

1000人以上の死傷者を出した中国・新疆ウイグル自治区での暴動。サミットに出席するためイタリアを訪れていた胡錦涛主席が急遽帰国するなど、暴動は建国60周年を前に引き締めを強化していた中国政府に大きな衝撃を与えた。暴動はなぜ起きたのか。背景にあるのは、国策によって移住を進めてきた漢族に対するウイグル族の反発だ。自治区の発展が漢族主導で進む中、経済格差と差別の実態にウイグル族の不満は膨らみ続けた。