JMM『「良い予言、悪い予言」:現地メディアに見る中国社会』から。
「中国がWTOに加盟して5年経った。それまでになされた12の予言のうち、9つが破綻(中国は近く崩壊する、4000万人が失業する、農業が全て没落する、証券会社の最大のライバルは外資証券会社となる、家電業は貿易障壁に別れを告げる、自動車工業は一撃で崩れ去る、通信料金値下げはない、最大の衝撃を受けるのはショッピングアーケードだ、不動産価格が15%引き下げられる)し、1つが現実(世界工場)となり、1つが予測を上回り(中国の世界輸出シェアは6.3%となる)、1つが今後の検証待ち(人民元貯蓄業務の2割が外資銀行に流れる)となっている。予言したのはWTO関係者、政府関係者、業界アナリスト、企業トップたちだった。これに対して我われは中国が奇跡的な国であることと市場の力に感嘆するばかりではなく、予言に対してもそれを聞きつつその検証を待つという、期待と覚醒という2つの心理で臨まなければならない」(「良い予言、悪い予言」新週刊・06年12月30日)
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「予言を検証する前に、われわれにはまだやるべきことが一件残されている。それは『我われが譲れるものとは何か?』『我われは何に負けを認めることができるのか?』を自問することだ…(略)…我われは、多国籍業、外資、西洋ブランドを持ち去られても落ち着いていられるだろうか? 企業創設者を失っても企業を大きくできるだろうか? 知的所有権を守るという前提で創意産業を向上させることができるだろうか? 豊かになっても異常な消費投資をせずにいられるだろうか? 12万元以上の年間収入を失っても法律で定められたとおりに納税できるだろうか? 権力を握った後も愛人を作らずにいられるだろうか? 構造的な失業の後に創業に転ずることができるだろうか? GDPの伸びが二桁から一桁になっても、中国人はそれを気にせず、馬鹿なことをしでかさずにいられるだろうか? 旧市街地を取り壊さずに現代的な都市を建設できるだろうか? 外来人口の移住条件を引き上げずに良好な治安を維持できるだろうか? 摩天楼を建てながら農民労働者への賃金未支払いという問題に無関心でなくなるだろうか?――もし、それがダメなら、悪い予言は不幸にして的中することになる」(同上)