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民営化

毎日新聞<JR不採用訴訟>差別認め14億円支払い命令 東京地裁」。

87年の国鉄分割・民営化に伴う労働組合員らの大量不採用問題で、JR各社に採用されずに国鉄清算事業団を解雇された国労組合員ら297人が、事業団を引き継いだ独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に雇用関係の存在確認と未払い賃金や慰謝料計432億円余の支払いなどを求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。難波孝一裁判長は「JRへの採用に絡んで組合員を不当に扱う差別があった」と認定し、ほぼ組合員全員に1人当たり500万円、総額14億1500万円の慰謝料支払いを同機構に命じた。
不採用問題を巡り、組合差別の不当労働行為や慰謝料支払いを認めた司法判断は初めて。原告側は、雇用関係の存在が認められなかったのを不服として控訴する。
分割・民営化に伴うJR各社の社員採用は、国鉄側が提出した「候補者名簿」を基にJRの設立委員が採用者を決めたが、国労を中心とする組合員は不採用になった。最高裁は03年12月、組合員救済を命じた中央労働委員会の命令取り消しをJRが求めた訴訟で「組合差別があった場合の責任は、国鉄清算事業団が負う」とJR側の責任を否定して、命令を取り消していた。
原告側は今回の訴訟で「組合差別で不利益を受けた」と主張。判決は、原告らを候補者名簿に記載しなかった行為について「国労組合員と、民営化に賛成した他の組合員の間には採用率に顕著な差がある。組合活動を嫌悪して能力や勤務態度の評価を恣意(しい)的に低くし、不利益に取り扱ったと強く推認できる」と指摘。組合差別による不法行為があったと認定し、55歳以上など採用基準外だった5人を除き、慰謝料の支払いを命じた。
一方、雇用関係の存在については「民営化に伴う再就職促進法の失効時(90年4月)に事業団との雇用関係が終了することが予定されていたというべきで、解雇は合理的。組合差別の有無にかかわらず、事業団が原告をJRに採用させる義務はなかった」と認めなかった。賃金支払いについても「不当労働行為がなければ、JRに必ず採用されたとは言えない」と退けた。