from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

レバノン情勢(2)

JMM『「戦争の風景3:地上戦拡大へ」レバノン:揺れるモザイク社会』から。

2005年2月のハリーリ首相(当時)暗殺事件以降、ふたつのシーア派政党、ヒズボッラーとアマルは親シリアの立場で団結し、あらゆる政策で歩調を揃え、ほぼ一体化して行動するようになった。しかし、イラン革命の申し子であるヒズボッラーと、世俗的な政党アマルは、本来激しいライバル関係にある。ヒズボッラーをレバノン社会から孤立させたいのであれば、まずは他の宗派から切り離し、次いでシーア派社会から切り離す……つまり、シーア派のライバル政党、アマルを何とかヒズボッラーから切り離せば良い。普通の政治センスがあれば、誰でも考えつくことだ。
しかしイスラエルは逆にアマルの根拠地を情け容赦なく爆撃し、何十人もの無辜の人々を殺した。アマル支持者はこれでますますヒズボッラーに共感し、イスラエルとの闘争に身を投じていくだろう。
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イスラエル軍は8日の戦闘で5名、9日にも15名を失っている。その戦闘の場所とは驚くなかれ、何とアイータ・シャアブ、ビント・ジュベール、クファル・キッラ、アイタルーンなど、国境沿いの村々なのである。イスラエル軍が開戦直後に制圧を発表した筈の地域で、1ヶ月を経過した今もいまだにゲリラの攻撃に悩まされているのだ。
まだある。開戦以来70名を超えたイスラエル軍の死者のほとんどは、イスラエルが世界に誇るメルカバ戦車の搭乗員である。ヒズボッラー・ゲリラの持つ対戦車砲の餌食になっているのだ。つまり場所は違えど同じ手段で、同じ武器によって同じ戦車を破壊されているのだ。
ヒズボッラーのミサイル攻撃も一向に止まない。8日には開戦以来最多の350発がイスラエル領内に着弾した。