from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

レバノン情勢(3)

JMM『「戦争の風景9:不透明な先行き」レバノン:揺れるモザイク社会』から。

8月23日現在のレバノンの状況を記すと、陸海空におけるイスラエル軍の封鎖は依然継続している。停戦発効後、素早く撤退を開始したイスラエル軍だが、ヒズボッラーが武装解除しそうにないのを見て撤退を中断。国境地帯の9箇所に分散して占領を続けている。23日未明には国境付近の村に侵入し住民二人を拉致した。越境攻撃も、占領も続いているのである。なお23日には越境攻撃から戻る途中のイスラエル軍戦車が自軍の埋めた地雷に触れて大破、乗員1名が死んだ他、地雷除去作業に従事していたレバノン国軍兵士3名も爆死している。
開戦直後に滑走路を破壊されたベイルート国際空港では、今週になって商業便の運航が再開された。しかしヒズボッラーへの武器密輸を警戒するイスラエルの要求で、ベイルート行きの便も、ベイルート発の便も、すべてヨルダンのアンマン空港で1時間程度の着陸を強いられるという変則的な運航体制になっている。レバノンの政治家の中からは「アンマンでイスラエルのセキュリティ・チェックを受けるくらいなら空港が閉鎖されたままの方がましだ(ホッス元首相)」と言った反発も起きている(ただしセニオラ首相と国営中東航空は、アンマンでイスラエル当局がセキュリティ・チェックをしている事実を否定している)。
海路も閉ざされている。燃料を積んだタンカーの接岸が認められないため、依然としてガソリンなどの燃料不足は深刻で、停電問題も解消していない。こんな状況だから、我が国はじめ各国も渡航禁止や自粛勧告を取り下げるわけにも行かない。空爆とミサイル攻撃の応酬こそ止んだものの、日常が戻ってきたという実感はなかなか得られない。

NIKKEI NET「シリア、レバノン国境閉鎖も・国連部隊配置計画に反発

シリアのアサド大統領は23日、ドバイテレビとのインタビューでレバノン南部に派遣される国連レバノン暫定軍(UNIFIL)がシリアとの国境沿いに展開する予定となっていることに強い不快感を表明した。部隊の配置計画が変更されない場合は、レバノンとの国境を閉鎖する構えだ。
イスラエルイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラがシリア経由で武器やロケットを入手しているとして、国連にUNIFILを国境に配置するよう要請している。アサド大統領はインタビューで「(国連軍の国境展開は)シリアに対する敵対的行為」と批判した。
これに先立ち、シリアのモアレム外相欧州連合(EU)議長国フィンランドのトゥオミオヤ外相に「国連軍が国境沿いに張り付けられれば、国境を閉鎖する」と語った。レバノンイスラエル、シリアの2カ国と国境を接しているが、イスラエルとは国交がないため、シリアが唯一の陸の玄関口となっている。国境が閉鎖されれば生鮮食品の輸送などが滞り、一般市民の生活に大きな影響が出るとみられる。