from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

レバノン情勢(4)

JMM『「終わりなき外交戦争」レバノン:揺れるモザイク社会』。

レバノン政財界の目下最大の関心事は、第五次レバノン戦争が勃発した7月12日以来、イスラエルにより課せられている海上・空域封鎖を、いかに打破するかという一点にある。天然資源に乏しいレバノンの経済は観光業と貿易に大きく依存している。海路・空路がともに封鎖された現在の状況が続くと、戦後復興プロセスに与える悪影響は計り知れない。
・・・・
そんな中、3日にカタルの国営航空会社、カタル航空は、空路封鎖を破ってイスラエルの事前承諾なく、アンマンを経由することもなく、ベイルート空港に直接乗り入れる商業便を再開させると宣言。翌4日にドーハから実際に142人の客を乗せてベイルート空港に航空機を着陸させた。ベッリ議長やサファディ運輸・公共事業相は各国の航空会社に対して「イスラエルの許可を得ずに、ベイルートに向けて直接飛行機を飛ばすよう」要請していたが、それに応えた第一号機となった。
・・・・
東にイラン、西にサウジと言う大国に挟まれ、西側寄りの立場と汎アラブの立場を両立させるカタルの外交は、ほとんど曲芸的とさえ言える。しかし、可能な限り敵をつくらず、敵対する国のいずれからも最大限の利益を引き出すことが外交の要諦であるとすれば、カタルがやっている手品のような外交は、ある意味で理想の外交術とも
言える。
対決の様相を深めるイランと米欧との間に挟まれて、日本は今後難しい外交を求められるが、カタルの巧みな遊泳術はその際に参考になるかもしれない。