from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

レバノン情勢

田中宇:大戦争になる中東(2)」から。

苦戦したイスラエルが態度を軟化させたことで、シャバア農場返還を盛り込んだ停戦と武装解除の案、フランスが率いる国際軍駐留の案などが改めて準備され、7月30日には、ライスのイスラエル再訪で、和平が一気に進むかもしれないという状況になった。
だが、この期待感は1日も持たなかった。ライスがイスラエルに着いた直後、イスラエル軍レバノン南部のカーナ村の民家(アパート)を空爆し、民家の地下室に避難していた34人の子供と12人の女性を含む56人の市民が、生き埋めになって殺された。これは開戦以来、1発の爆撃による死者数として最大のものとなり、子供の遺体が次々と廃墟から掘り出されて搬出される様子が、テレビで世界に放映された。(関連記事)
イスラエル政府は、大勢の民間人を殺したことを陳謝したが、この事件で事態は一気に悪化し、和平交渉は滞った。レバノン政府は「即時停戦が実現しない限り、これ以上外交交渉しても意味がない」と発表し、ライスのイスラエル訪問の後に予定されていたベイルート訪問はキャンセルされた。レバノンでは、市民殺害に対する復讐を誓うヒズボラへの支持が強まった。

JMM『「米国議会とイスラエルロビー」From Kramer's Cafe』から。

現在の議会の情況は、共和党のラフッド議員が言うように「イスラエルが議会下院を制している」といっても過言ではない。「下院はイスラエルに著しく傾斜しており、それ以外のことは全て反対する。まるで津波にのまれるようだ」という。先週可決された決議案にも、もちろん一大ロビイングが展開された。
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先日イラク首相のマリキ氏が訪米し即時停戦とイスラエルの攻撃による殺戮と破壊を止めさせるべきだとブッシュ大統領に述べたということから、民主党の議員を中心に蜂の巣をつついたように非難が続出。何人かはマリキ首相のスピーチをボイコットする騒ぎになった。彼らの主張は「ヒズボラの侵略に言及せずイスラエルの自衛の権利を認識しないという態度は中東の安定と現危機の解決に(マリキ氏が主導する)イラクが建設的な役割を果たせるのか疑問を抱く」であり、特にニューヨーク州選出のチャック・シューマー上院議員は「もし(テロを容認する)イラクのために米国人の血と金が使われたというなら、何をしにここにきたのだ?(中略)テロ戦争においてどちらの側につくのだ? 米国民の前ではっきりさせてほしい」と辛らつなものだった。民主党議員らはマリキ首相のスピーチの文面にヒズボラ非難を入れろと迫る事態となった。
イスラエル擁護を早くしかも強力に前面に押し出す候補者にとっては、政治的にも金銭的にも報酬がまっている。