from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

民主的抗議は無力

小林恭子の英国メディア・ウォッチ」から。

BBCの夜のニュース番組「ニューズナイト」で、英国ムスリム協会のタミミ博士という人が作った、短いビデオを放映した。協会に属する若い人たちに、今回のテロをどう思うか?をインタビューして、自分なりに「何故?」を分析したものだ。
タミミ氏によると、4人が自爆テロを起こした理由には、「政治の失敗、イスラム教徒が世界中で殺されている事実、過激派の動き」などがある。
政治の失敗とは、英国の外交政策を指し、中東のパレスチナ問題などが解決されていないこと、英政府の力が十分ではないことに加え、イラク戦争をあげている。(前に、イラク戦争は今回のテロに関係ないと思う、と書いたが、今になってみると、確かに背景要因としてうなずけるように思っている。)
英国ではイラク戦争開戦に対する反対の声が非常に強く、それでもブレア首相は開戦に踏み切った。デモなどの民主的抗議が何の効果もないことへの絶望感が、若者の間で広まった、とタミミ氏は言う。
また、イラクアブグレイブ刑務所での米兵によるイラク人捕虜への虐待、キューバの米軍グアンタナモ基地での同様の虐待、イラク戦争で現在までに10万人以上のイラク人が亡くなったこと、など、「世界中でイスラム教徒が殺されている、傷を受けていることに対する悲しみと怒り」もイスラム教徒の若者の間で共有されている、という。

民主的抗議が無力であるということが背景にあるなら、またテロは繰り返されるだろう。
正義としての武力行使を止めない限り、「過激派の浸透」は続く。