from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

被疑者・容疑者の取り扱い

小林恭子の英国メディア・ウオッチ」から。

テロ報道を見ると、私が最も驚いたのは、被疑者・容疑者の取り扱いだった。
例えば、7月7日のテロの実行犯(とされる)4人の男性だが、様々な顔写真が大きく掲載された。英国籍のイスラム教徒の男性たちだったが、「英国籍」という部分を示すためか、出生証明書のコピーが掲載されていた。また、4人のうちの2人がパキスタン・カラチの空港を訪れ、パスポートチェックの際に撮られたと思われる写真が載っていた。
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さらに引っかかったのは、あるエジプト人の件だった。このエジプト人の男性は、英中部のリーズ大学で博士号を取得中だった。実行犯グループと何らかの関係がある、ということで、彼の顔のクローズアップの写真が、新聞の1面に載った。少なくとも縦15センチはあろうかというほどの、大きな写真だ。彼が無実だったら、この人の人生はどうなるのだろう?松本サリン事件で犯人と間違われた人のことを思い出した。
最初の報道が7月14日頃で、数日後、旅行でカイロ・エジプトにいるところをエジプト政府に逮捕された。最終的に、エジプト当局は彼が全くの無実であるとして、釈放。
さて、この男性、生化学者のマグディー・エルナシャール氏は、まだエジプトにいる。11日付のタイムズ紙によると、25日間拘束されていたという。無実だ、ということを世の中の人に知ってもらいたい、という。
英中部リーズ市(実行犯らが生活をしていた)で仕事もあり、英国に戻りたいのだが、英国の一般大衆が自分をテロの容疑者だと見なしていることが気がかりだ。
「私が無実だということをどうやって知ってもらえるだろうか?どうしたらいいのか?通りを歩く一人一人の人に、無実だと説明するのか?」。内務省は、エルナシャール氏が英国に戻ることに対して、「何の支障もない」と述べていると言う。

テロとの戦いは、一般市民の人権を無視する。