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秩序と安全

HotWired Japan米公聴会、ハイテク大手4社「中国政府の圧政に加担」を追及

15日(米国時間)、米下院国際関係委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会において議員たちは、米国のハイテク大手4社に対して、成長著しい中国のインターネット市場に参加する見返りとして、同国政府による体制批判の抑圧を進んで支援していると非難した。
マイクロソフト社、米ヤフー社、米シスコシステムズ社、米グーグル社の代表者たちは、同小委員会の公聴会で自らの立場を弁護したが、グーグル社の関係者は、中国のインターネット市場を理解するのは「困難なことだ」と認めた。
だが、批判的な報道がメディアにあふれ、政府の注目が集まった今になってはじめて、中国における自社の業務姿勢を説明しようとする各社の思惑に、議員たちは批判的だった。
委員会で民主党代表を務めるトム・ラントス下院議員(民主党カリフォルニア州選出)は各企業に対し、莫大な富と影響力を手にしながら「社会的責任はほとんど果たしていないように見える」と発言した。
「中国における各企業の忌まわしい行動は不名誉だ。経営陣がどうして夜の安眠を得られるのか、理解に苦しむ」とラントス議員は公聴会で述べた。
事前準備のうえで証言に臨んだ各企業は、「チャレンジ市場」と呼ぶべき難しい市場でのビジネスのやり方について指針を示してほしいと要望した。
グーグル社のエリオット・シュレイジ氏は、「中国でビジネスを行なう際の必要条件の1つが、自主規制だ。これはグーグル社にとって、企業としての最も基本的な価値と責任に矛盾することだ」と述べた。
それでもグーグル社が中国への進出を決めたのは、「中国の情報へのアクセス拡大において、不完全だが意味のある貢献が行なえる見込みがある」と考えたからだと、シュレイジ氏は語った。

JMM「国境を越えるインフラ」from 911/USAレポート』から。

アメリカ自身でも、例えばNSA(国家安全保障局)があらゆる国際電話と国際間のEメール交信を傍受していると認めているように、まず「秩序と安全」の前には個人のプライバシーは妥協を余儀なくされています。
表現の自由ということでも、アメリカは無制限ではありません。例えば、二月初旬のNFL決勝戦「スーパーボウル」では、ミック・ジャガー率いる「ローリング・ストーンズ」がハーフタイムのショーを務めて、その若々しさが全米の話題になりました。ですが「ストーンズ」の年齢を感じさせない派手なステージには裏がありました。まず、歌詞の中の「不穏当」な部分を削除させられた上に、生中継ではなく「五秒遅れ」の中継ということになっていたのです。
数年前の「ジャネット・ジャクソン」の「露出ハプニング」以来、本当にTV局は慎重になっており、こうした措置が取られたのだそうです。ミック・ジャガーという人は、実は隠れた「スパイ暗号」マニアで、『エニグマ』という映画のプロデュースもしているのですが、仮に当節話題の「市民への盗聴」問題を皮肉るような発言をしたとしても、TV局は悠々とカットできるというわけです。
国内だけでなく、例えばアラビア語の衛星TV「アルジャジーラ」に対して、アメリカは「反米的に過ぎるから」と何度も圧力をかけています。「言論の自由」などというものが絶対的な価値として機能していないのはアメリカも同じなのです。そんなわけですから、今更のように中国を非難してもどうしても説得力に乏しいということになります。
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では、それぞれの国は理念を他国に発信するということは、してもムダなのでしょうか。あるいは差し出がましいことだから、遠慮すべきなのでしょうか。明らかな人権侵害があっても、見てみぬふりをすべきなのでしょうか。私はそうは思いません。
この世界には、最低限の人道的な権利というものがあり、国連や多国間外交などを通じて、改善を図ることになっている、そのこと自体は否定すべきではないと思います。 ただ、問題はメッセージが政治的になってストレートに伝わらないというだけではありません。人権とか自由という言い方でひと括りにされるものの中で、本当に国境を越える普遍性があるものは何なのか、それぞれの文化圏の独自性に任せるべきものは何なのか、ということが揺れている、そこに問題があります。