from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

対中ODA

個人の方が作られている「社会実情データ図録」というWebサイトに、「韓国、中国、インドネシアへの円借款(ODAローン)の推移」を示すページがあった。これによると韓国への円借款は8年前の1997年まで続いていた。対中国は、作成者の方のコメントでは、

なお、円借款の供与額が元利償還額を上回っているが、償還額は着実に増加しており、近年、円借款の終了に向けて日中間の合意ができたので、いずれは、韓国と同様、援助卒業となろう。

とある。中国のかなりの人が日本の対中ODAを知らないとよく言われるが、作成者の方のコメントでは、

相手国からの円借款の評価については、日本の新幹線や東名高速道路が多国間援助である世界銀行からの借入で建設されたことを知っている日本人が少ないように、日本の援助で韓国の主要インフラが建設されたことを知っている韓国人は少ない。ただし、識者はそれを承知している。

とある。新幹線や東名高速道路が世銀からの借金で建設されたことはまったく知らなかった。そんなもんだ。
対中ODAって、日本が損をしているように思っている人が多いが、『「国益」損ないかねない拙劣なODA論議』を読むとそうでもなさそうだ。ODAといっても、無償資金協力は僅かで、ほとんどが借款と技術協力。円借款で作られた「インフラ施設の多くは日本の対中企業進出や貿易拡大のためにも大いに役立つものであった」し、

小泉首相は今日の中国の経済発展は日本にとっても利益であることを確認している。対中ODAは以上のように、経済的には申し分ないほどに成果を挙げた。日本のODAは、幾つかの国で指導者の不正蓄財の温床になったり、また活用されないまま無駄遣いされ、しかも回収不能になったプロジェクトもある。その意味でも、対中ODAはODAの中の“優等生”である。優等生は、表彰されて卒業されるのが普通であり、なぜ「効果に疑問」などという評価を受け、途中退学処分のような扱いを受けるのか、不思議でならない。これでは3兆3000億円を無駄に投じたと言う様なもので、自らの戦略を自己否定したも同然だ。外務当局やODAの関係機関もっとは反論や釈明の必要があろう。それをしないのは、対中ODA批判でお茶を濁しいておいてくれれば、中国以上に効果が疑問視されるODAについて批判を受けないですむと、だんまりを決めているのではないかと邪推したくなる。

とある。また、「ODA供与によって浮いた資金で中国は軍備力を増加し、日本への脅威となっていっている」というような古森義久氏らのODA批判に対しては、

中国の軍事大国化を指摘して、ODAを打ち切った場合、今後いかなる戦略をもって中国の軍事大国化を抑止していくというのだろうか。ODAが十分なカードとして機能したかどうかは別として、一つのカードであったことは疑いない。犬の遠吠えのように軍事力の増強を非難し、脅威論を訴えれば訴えるほど、双方の溝が深まり、軍拡競争をもたらすだけである。まず新たなカードを示すべきであろう。それ以前に、環境問題やエネルギー問題、格差の是正の上で、中国がまだまだODAを必要とする発展途上国であることを思い起こすべきだろう。

とある。こちらの方が正論のような気がする。