from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

中日新聞から。

河野洋平衆院議長は七日、国会内で小泉純一郎首相と会談し、日中関係悪化の一因となっている首相の靖国神社参拝問題について「慎重の上にも慎重に考えてほしい」と、参拝を自粛するよう申し入れた。首相は「よく分かった」と答えたが、「中国の胡錦濤国家主席、韓国の盧武鉉大統領にも自分の考えを何度も申し上げ、理解を得られていると思っている」とも述べ、説明責任を十分果たしているとの考えを示した。
・・・・
河野氏との会談について、小泉首相は同日夕、記者団に「(参拝は)適切に判断するとしか、今は言わない方がいい」と述べるにとどめた。

「今は言わない方がいい」とはどういう意味かな。NIKKEI NETには、「首相は毎年参拝の方針を貫く考えで、今後の外交日程をにらみながら参拝時期を最終判断していく構えをみせている」とあった。
中国が首相の靖国参拝を反対する理由は、朱建栄東洋学園大学教授によると、

毛沢東主席以来、中国の指導者は一貫して、日中両国民とも同じように戦争の犠牲者であると表明している。貴重な命をなくした民間人ないし一般軍人の犠牲者を日本政府の指導者が追悼することに反対しているのではない。
新中国成立後、中国戦場で罪を犯した1000人以上の日本人戦犯が早期釈放され、周恩来元首相は、ヨーロッパの国がかつて行った民族復讐主義をしないと明言した。そこで中国政府は、中国に侵略し、多大な人命と物的損害をもたらしたあの戦争の責任はごく少数の軍国主義者だけが負うべきだとして自国民を説得し続けた。その結果、日中戦争当時の関東軍参謀長でもあった東条英機元首相が中国で「最も知られる日本人」の3位に入る一方、日本民族とは「世々代々の友好」をするよう国民教育が長年行われてきた。
したがって、東条元首相ら対中侵略の首謀者たちに小泉首相が慰霊し「敬意を表する」と映ることは、中国人の感情を深く傷つけるだけでなく、現在の日本政府をごく少数の軍国主義者から区別して友好を求める、という北京指導部の国民説得論理も崩れることになる。

からと。

sava95さんの「覚え書き」に、東京新聞編集委員の清水美和さんの「日中関係への視点」という講演のことが紹介されていたので、読んでみた。大筋は納得のいく内容だ。『「日中友好」へのノスタルジアを捨て』るぐらいじゃないと日中間の関係改善は望めないというのはよく分かる。ちょっと気になったのは、『百年ぶりに直面する「豊かで強い中国」という現実に日本人はまだ、戸惑うばかりで、日本の少なくない人が最近、中国のことになるとすぐ「かっとなる」ように見えるのは、こうしたゆとりのなさの現れでしょう』というくだり。どうかなあ。上海などの都市の発展がテレビなどで紹介されてはいるが、少なくない日本人が実感として中国が豊かになったと感じているかどうか。上海などに行ってみれば実感できるが、中国に住んでいたり、中国を訪れたりした日本人はまだ僅かだ。中国のことですぐ「かっとなる」人は、経済援助を一杯してあげているのに恩知らずと思っている人だと思うけどね。