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子育ての日々の断片を書き綴る

COP15の意義

ビデオニュース・ドットコム「神保・宮台COP15現地報告: 新しいゲームが始まった」から。

コペンハーゲンで新しく始まったゲームとは、G7主導で法的拘束力のある合意文書(テキスト)を作成し、その文書で各国を縛っていく従来の国連のコンセンサス(全会一致)方式が、もはや実効性を失い、新たに、世界が温室効果ガスの排出を削減していくことは必要との大枠の合意に基づいて首脳がコペンハーゲンに集い、地球の気温上昇を2度以内に抑えることなどを大枠で合意した上で、あとは各国がそれぞれの判断で国内対策をどれだけ実行できるかを競うゲームだと言うのだ。より大きく温暖化対策を進めたところが、次の会議ではより大きな発言権を持つことになることは言うまでもない。
 そうした見方を前提に日本に目をやると、コペンハーゲンでは過去の日本の首脳に比べると鳩山首相は一定の存在感を示すことができたと言えそうだ。先進国間の話し合いの際も、鳩山首相オバマクリントン、ブラウン、サルコジメルケルらと机を囲んで膝詰めで丁々発止の議論に参加していたという。そして、福山氏も飯田氏も、それは鳩山首相が9月に25%削減を発表しているかに他ならないと、口を揃える。
 世界に先んじて野心的な削減目標を打ち出したことで、少なくとも今回の会議で日本は、新しいゲームに参加するパスポートを得た。しかし、実際その後温暖化対策の具体的な中身については、ほとんど議論さえ進んでいないのが実情だ。民主党排出権取引再生可能エネルギーの全種全量買い取り制度、炭素税の3つの制度の導入を公約しているが、これまでその面での整備はほとんどまったくといっていいほど進んでいないのが実情だ。交渉の過程で中国から、「日本は25%なんて言ってるが、本当にできるのか」とまで言われ始めているという。既に国際社会は、25%削減の裏付けとなる日本の国内対策がほとんど進んでいないことを、見抜いているのだ。