from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

何も始まらない

野口健のガイア礼賛「時間ない温暖化対策」。

アジア・太平洋水サミットを終えた会見後、記者から「野口さん、怒っていましたね」と言われました。確かに私はプルプルと怒りを抑えるのに必死だった。言葉を選んだつもりだったがごまかけさなかったようだ。前回の連載で触れたように、私はこのサミットを「生きたサミット」にしたかった。しかし、部会に割り当てられた時間は2時間。遠方から駆けつけたブータンのドルジ首相に与えられた発言時間は、たったの2分だった。
せっかくヒマヤラ流域国の代表が集まり、温暖化の被害を世界に訴え、具体的な解決策を練ろうとしたのに、結局は儀礼的な挨拶ばかりに時間が割かれた。
他の部会では海面上昇で国土が失われている南太平洋・ニウエのビビアン首相が「いつまで話し合いばかりしているんだ。毎年のように会議をしているのに、何も始まらない。私たちには時間がない。今、必要なのはアクションだ!」と激高する一幕もあった。
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日本の外務省の対応も残念だった。我々の部会への参加をお願いしたら「水サミットは外務省の案件ではないから」と断られた。各国の元元首級が日本に集まってサミットを開催するのに、外務省の主催かどうかは大きな問題ではないはず。日本政府からは何一つ具体的な解決策が発せられなかった。
インドネシアバリ島で開催された国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP13)も同じ。合意文章案には温暖化ガス排出削減に関する目標値が書き込まれていたが、米国は目標値の設定に抵抗し、削減を求めた。
一方、EUは明確な目標値が必要だと主張。日本はどうかといえば「合意が難しい目標値より枠組みを作るほうがいい」。相変わらずあいまいで米国寄りだ。