from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

郵政民営化の意味

JMM郵政民営化で起こる変化」から。

かつて郵便局は、定額貯金のような、銀行にはない商品を提供していたが、今後はこうした独自性のある商品は無くなるのであり、顧客にとって、ゆうちょ銀行が、わざわざ存在する意義は大きくない。融資のノウハウや顧客を持たなくとも稼ぎの種になる投資信託などで、既存の銀行や証券会社と販売競争を繰り広げることになろうが、投信を買える窓口が増えるのは原則論的にいいことだとしても、現在売られ
ているような、手数料の高い投信を、投資商品の経験が乏しい旧郵貯の顧客に「目標数字」を掲げながら売ることが、好ましい事とは思えない。
経済を効率化させる「改革」の意味にあっては、郵貯簡保は、民営化ではなく、「廃止」が適切だったと思うが、おそらくは20数万人と言われる郵便局の雇用の維持を意識して、「郵政民営化」を形の上で達成するために、これらが存続する、ごく中途半端なものになった。
かつての、国鉄電電公社の民営化の場合には、両組織は、その当時に独占的な役割を持っていたので、組織を解体・廃止することが、合理的ではなかったので民営化に意味があったが、郵政民営化の場合は、不必要なものまで残した形で、しかも、2007年の10月まで実施を先送りして、「民営化」という名だけを取ったものに見える。
結局、小泉純一郎氏にとって、「郵政民営化」は、自民党内の政治的な勢力争いにあって、特定郵便局の支援を受ける政治家と、それほどでもない政治家を、このテーマへの賛否で敵味方に峻別し、選挙民に対しては、「郵便局がどうして公務員でなければできないのか?」という分かりやすい問いかけだけを争点にすることで(マスコミの協力も大きかったと思うが)、選挙に一度大勝できた、政治的勢力争いの道具であったのだろう。