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子育ての日々の断片を書き綴る

行き場のない郵貯資金

日刊リベタの「<小さな政府論検証シリーズ(2)> 郵政民営化で資金の流れは変わるのか? 醍醐聰・東大教授」から。

郵貯資金等を資金運用部に預託する制度は、2001年の財投改革によって廃止され、(1)郵貯簡保資金は、原則として、すべて市場で自主運用できるようになった。(2)それに対応して、財投機関は必要な資金を自力で調達するため、財政投融資機関債(財投機関債)を発行するものとされた。(3)ただし、これ以降も、資金の自主調達が困難な財投機関に貸し付ける資金を調達するため、国は財政投融資債(財投債)を発行できることになった。その際、当時の大蔵省は、2001年度以降、7年間の経過措置として、郵貯簡保に財投債を引き受けるよう義務付けた。

7年間、「郵貯簡保に財投債を引き受けるよう義務付けた」ことは知らなかった。
仮にそういう義務付けがなかったとしても、安全な使い道がない今は国債を買い続けるしかないし、国債を引き受けなくなったら、次のようなことも考えられるようだ。

郵貯簡保、民間金融機関がそろって、国債の引き受けを減らす結果、安定的な引き受け先を失った国債が暴落するというケースである。そうなると、現在、大量の国債を保有している郵貯簡保、銀行・生保は巨額の国債値下がり損に直撃され、経営不安が一挙に表面化することが予想される。

JANJAN郵政民営化の米国側試算をご存知ですか?」には、

「米金融機関シティーグループは、郵政民営化郵便貯金と簡易保険が民営化した場合、「3兆ドル」の郵貯簡保資金の大部分が従来とは異なる市場に流れ込むと予想し、米国国債と欧州債券、日本と外国の株式が大勝利する。一方で、郵貯制度の恩恵に浴してきた日本国債は大敗北と予想。
シティーグループは、郵貯簡保の民営化によって、国債、地方債、社債を含む日本の債券市場から1兆3750億ドルが流出すると試算。投資家は有利な運用先を探すが、1270億ドルは米国債、640億ドルが欧州ユーロ債、520億ドルが日本の株式市場へと予想。
現在の郵貯簡保が180兆円の日本国債を抱える一方で、外国証券には85000億円しか投じていないと指摘。日米間の国債利回りの開きからみて、『民営化郵貯簡保の新しい経営者が利潤追求するなら当然の帰結』としています」