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子育ての日々の断片を書き綴る

国債発行額低減の実態

東京新聞国債発行3兆円減」から。

財投債の発行を減らすのは、都市再生機構などが予定より多く財政投融資からの借入金を繰り上げ返済し、財投の資金繰りに余裕が出たため。

nikkeibp.jp都市機構が財投を密かに早期償還、日銀統計に歪み

独立行政法人都市再生機構が、14兆円を超す財政投融資を受けているうち、高金利の3兆2000億円を今年7月と8月に繰り上げ償還していたことが明らかになった。資金は全額、みずほコーポレート銀行をはじめとする民間金融機関が、国債利回り並みの低利で融資した。金利負担を軽減したい都市機構と、運用難の銀行の利害が一致したが、1法人に対しては異例の巨額融資が、経済統計をも歪めた。
繰り上げ償還自体は、昨年暮れに財務省から認められていた。財投を繰り上げ償還する場合、本来ならペナルティーとして補償金を支払わなければならない。だが、都市機構は郊外のニュータウンなど膨大な不良資産を抱える一方、年間5000億円近い金利負担によって経営が行き詰まっていた。
そこで、財務省ニュータウン開発などから撤退して資産を早期に処分することを条件に、ノーペナルティーでの繰り上げ償還を容認。当初は4年程度かけて実行する計画だったが、企業の資金需要が乏しい中、銀行には貸し出しを伸ばせる好機と映った。金利負担の軽減効果は「累積で9000億円と見込まれている」とみずほ証券は見る。
都市機構に融資したのは4大メガバンク地方銀行信金中央金庫など50〜60行庫。みずほコーポと三井住友銀行が中心になって過去最大規模のシンジケートローン(協調融資)を2度取りまとめ、合計1兆円融資したほか、みずほコーポなど従来からのシ団が、個別でも計2兆2000億円を融資した。
これが日本銀行の公表している「貸出・資金吸収動向」に影響した。日銀は「8月の民間銀行の貸出残高が、特殊要因を除いて0.2%増と、統計を取り始めた1998年以降では初めてプラスになった」と公表していた。その実態は、全銀行の貸出金合計の0.8%に相当する額が、都市機構1法人への融資でかさ上げされていたわけだ。民間の資金需要が回復したわけではない。
都市機構向け融資は、貸出金利の低さにも驚かされる。期間が2〜5年と短いことを考慮しても「7月が平均で0.55%、8月は同じく0.35%だった」(都市機構関係者)というのが事実なら、融資した銀行が資金調達コストや経費を完全に賄えているのだろうか。あるメガバンクの融資担当者は「競争が厳しいから」と自嘲気味に話すが、郵政民営化後に郵便貯金が貸し出しに参入してきたら、競争激化に拍車がかかるのは間違いない。