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子育ての日々の断片を書き綴る

内閣府大臣官房政府広報室による世論調査

「郵政民営化に関する特別世論調査」の概要(平成17年3月11日、内閣府政府広報室)』から。

(1)郵政民営化への賛否

  • 賛成 19.1%
  • どちらかと言えば賛成 29.9%
  • どちらかと言えば反対 19.9%
  • 反対 10.3%
  • わからない 20.8%

(2)賛成の理由(郵政民営化について「賛成」とした者(1,019人))(複数回答

  • お役所体質がなくなり、窓口での接客サービスの向上が期待できるから 36.1%
  • 公務員の削減、官公庁の縮小による「小さな政府」の実現はよいことだから 31.2%
  • 民間でできる事業は民間が行うべきだから 30.2%
  • 郵便貯金、簡易保険を合わせ約350兆円もの国民の資金が民間に流れることにより、経済の活性化につながるから 26.3%
  • 他の民間業者との競争の結果、郵便局が提供している商品(郵便、郵便貯金、貯金、簡易保険)がよりよいものとなることが期待できるから 25.7%
  • 法人税の優遇がなくなるなど、間接的な国の負担(見えない国民負担)が減るとともに、税金を支払うことによって、国の財政再建に貢献するから 15.2%
  • 郵便局の窓口で、商品の販売や航空チケットの予約をするなど、新たな多様なサービスが期待できるから 11.5%
  • 構造改革を進める上で不可欠な課題だから 7.3%

(3)反対の理由(郵政民営化について「反対」とした者(626人))(複数回答
過疎地や山間地でも毎日郵便物の集配を行うといった郵便サービスが低下してしまう懸念があるから 35.9%

  • 民営化によって、より厳しい競争原理が導入されると、地域から郵便局が撤退することが懸念されるから 34.7%
  • 今の郵政事業に不満はないから 33.4%
  • 郵便貯金、簡易保険の政府保証などによる、現在の金融・保険事業の利点が 失われてしまう懸念があるから 24.9%
  • 民営化会社では、個人情報の保護などに不安があるから 12.5%
  • 郵便局の業務は公務員が行うべきだから 9.6%
  • 民営化された会社が他の企業の活動を圧迫するおそれがあるか 8.1%
  • 職員が公務員でなくなることにより、雇用不安が起きるおそれがあるから 5.6%

賛成の理由の第1位が「窓口での接客サービスの向上期待」だけれど、今の郵便局の窓口での接客態度は、都市銀行とそれほど変わらないように思えるが。少なくともお役所体質には見えない。お役所体質を変えてほしいのは、市役所などの公共サービス窓口なんだけど。
第3位は「350兆円が民間に流れる」から。竹中さんは、350兆円が「いま国のものになっているこの巨大な資産が民間のものになる」って言うけれど、今でも預金者や保険加入者である民間のものじゃないの。国のものにしてしまっているだけ。350兆円を民間にというが、どんな融資先があるのかな。民間銀行では、「貸出残高が減って国債の保有残高が増えている」というのに。
第4位は、民間業者との競争。民間業者と競争させない条件で商品を提供しているからあれだけのお金が郵便局にあると思えるが、民間業者と競争させてよりよい商品ってどんなものだろう。「民間企業になると、市場の中でお客さまや株主の厳しい目にさらされて、経営の強化がはかられます」って言うが、大量の不良債権を作ったのは民間企業じゃなかったのか。競争の原理にさらされていないNPOでも確かな貢献やサービスできているところがあるから、公営でもできないことはない。
小泉さんが言う「構造改革を進める上で不可欠な課題だから」という意見は意外に少ない。
国民が求めている構造改革は、郵政を民営化するとかしないとかじゃなくて、国や地方の財政破綻をなくす組織改革。それと、無駄のない適切な公共事業公共サービス
小泉改革宣言」には、一番大事な「こどもや孫の世代に負担を先送りせず、将来の大増税への不安をなくすため、2010年代初頭にプライマリーバランス(国債費や公債金収入を除いた財政収支)の黒字化を実現する」が「民需を誘発する歳出構造改革」の6番目に挙げられてはいるが、お題目だけで実現方法が書かれていない。どんどん民営化すればそうなるってこと?民営化してもうまくいくとは限らないから、スクラップになっちゃったら、捨ててしまうということだね。あとは増税か。
公共サービスはどんどんPFI化してコスト削減を図ろうということのようだけど、「PFI導入によって、本当に市場原理が導入されるか、それによって公共事業の外部効率性(いらないことはしない、必要なことはする)及び内部効率性(できるだけ少ないコスト・資源でやる)が改善されるかについては、疑問が残る」ようだ。