from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

強さと脆さ

NBonline中国の「胴体を輪切り」にする〜『現代中国の産業 勃興する中国企業の強さと脆さ』」。

日本メーカーは、テレビにおけるブラウン管、冷蔵庫やエアコンにおけるコンプレッサーといった基幹部品も自社で手がけた。垂直統合を目指したのである。
一方の中国メーカーは違った。時間とコストをかけて高度な部品を自社開発するよりも、外資系有力メーカーが作る優れた部品を組み合わせ、目まぐるしく変わる消費者のニーズにあった製品を作ることに注力した。
しかも、複数の企業にそれらの部品の価格を競わせる。好例がテレビのブラウン管である。現在、日本のメーカーは1つの型番商品には1社のブラウン管しか使わないが、中国メーカーは複数社のものを混用する。ブラウン管が異なると、同一製品であっても画質の違いが生まれることを恐れる日本に対して、中国は「今の消費者にとって画質は大きな問題ではない。複数のメーカーを競争させ、製品価格を安く抑えるほうが大切」と考えたからだ。
こうした中国勢の垂直分裂戦略は功を奏した。垂直統合戦略をとった日本勢は蹴散らされ、中国での最終商品市場を狙って進出したはずが、いつの間にか狭い市場を狙う高級品メーカーか、中国メーカーへの部品サプライヤーになってしまった。
ただ、中国企業にも弱点はある。既存の部品を他から購入して組み立てるわけだから、最終商品の同質化が避けられない。製品の低価格化で日本勢から市場を奪うことに成功したものの、今度は自らの製品を国内のライバルから差別化できないというジレンマに陥っているのである。

注力したっていうか、そうするしかなかったというところだろう。