from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

長野県知事選結果

花岡信昭:「田中康夫的なるもの」の正体』から。

田中氏は「直接民主主義」の手法を持ち込んだ。車座集会と称して、農村部に出かけ、公民館で対話集会を行う。この映像をテレビが繰り返し放送する。それまでは雲の上の存在だった県知事が、同じ目線に降りてきたのである。そこに「庶民の強い味方」としての新しい知事像が打ち出された。
これはすべてテレビ時代がもたらした「錯覚」である。その一方で、県議会や市町村長などとの対話がほとんど成り立たない異常な状況が生まれていった。知事は県民が直接選ぶ大統領型選挙で誕生する。その知事が間接民主主義の象徴である議会との関係を断絶してしまったら、政治の要諦である「調整」は機能しなくなってしまう。
こうして、知事=善玉、県議会=悪玉という善悪二元論のステレオタイプが創出されていく。田中氏はこの構図を最大限に利用したのである。
直接民主主義」の導入は、住民投票を重視する昨今の風潮と一体のものである。その地域だけで解決できるテーマなら分かるが、基地移設など国家レベルの問題まで住民投票にかけてしまっては、首長の政治責任の放棄と言わなくてはならない。これを民主主義的であるかのように受け取る「錯誤」、それがまさに「田中康夫的なるもの」の実態である。

PJオピニオン「長野県政これからどうなる?」から。

村井氏は矢継ぎ早に、ガラス張りの知事室の廃止や脱ダム宣言での焦点になった浅川ダムの建設凍結の再検討などを打ち出してきた。田中氏は就任時県内の雇用情勢は全国でもワーストクラスだったのを、土木事業に頼らず改善したといってはいた。だが、もともと精密機械やパソコン関係のハードなどの工場が県内に多かったので時代の流れとも言えなくはない。
ただ自然保護運動の盛んな県なので、大型プロジェクトには難問が付きまとうだろう。また、県の累積債務圧縮はこれからも減らしていかないと、保守知事はだめだと言われかねない。最近起った問題では長野県のHIV患者が全国ワースト2位となってしまっていることだろう。これは田中氏自身も非常事態宣言をしたほどだ。また先日の台風で壊滅した岡谷市の復興も新たなる問題だろう。