from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

耐震偽装(12)

NHKニュース「姉歯建築士 偽証を本格捜査」

元1級建築士姉歯秀次被告(48)は、去年12月の国会の証人喚問で、『木村建設の篠塚明・元東京支店長から鉄筋を減らすよう相当プレッシャーを受けた。最初に偽装したのは平成10年の東京・大田区のマンションだったと思う」と証言し、木村建設からの圧力が偽装を始めた動機だったと強調しました。しかし、その後の警視庁の調べでその1年前の平成9年に建築確認が下りた東京・中央区のマンションですでに偽装をしていた疑いが強いことがわかりました。調べに対して姉歯建築士は、「仕事を増やすために構造計算を早く仕上げる必要があった」などと供述しているということです。証人喚問でうその証言をすると、議院証言法で国会の告発を条件に罰則が科せられます。警視庁などは、姉歯建築士が国会でうその証言をした疑いがあるとして国会からの告発を受けて偽証罪での立件に向け本格的な捜査を進める方針です。

月刊現代5月号「“悪人”をでっち上げた霞が関の迷走と悪知恵」(魚住昭)から。

粘り強い柔構造にすれば柱や梁も細く、軽くなり、大幅にコストダウンもできる。これは、戦後の建築界で有力になった設計思想だった。と同時に、木村建設元幹部によれば、大分工法の考え方でもあった。
木村は「建設会社100社のうち99社は剛構造でしかやらないから、うちの新しい工法を(建築確認をする)建築主事に理解してもらうが大変なんです」と小嶋に言った。
小嶋は東京都大田区につくる10階建てマンション(GS池上)の施工を木村建設東京支店に依頼した。発注金額は約5億円。相場より1億円も安かった。そのとき東京支店の篠塚が構造計算を発注したのが姉歯である。
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GS池上は東京支店が姉歯に発注する初の本格的な仕事である。その際、篠塚は熊本の中山明英が手がけた同型マンションの構造図と積算表(使用した鉄筋量やコンクリート量などを記載したもの)を姉歯に渡してこう言った。「この程度の積算でまとめてくれ」
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GS池上で偽装に踏み切った本当の理由は何だったのか。
その答えのヒントになる言葉を姉歯は、『産経新聞』のインタビューに漏らしている。
「時間がなく、とりあえず(構造計算書を確認機関)出した。そのあとで差し替えようと思っていたので、単純な偽造だった」
“差し替え”とは何か?日本建築構造技術者協会(JSCA)会長の大越俊男によると、建築確認の際、意匠や構造に関する図面や計算書を同時に出すことになっているが、実際に構造審査が始まるのは意匠審査が終わったあとだ。このため当初は適当にダミー書類を提出しておき、「意匠」審査の間に正規のものを作成して、構造審査の呼び出しがあったときに差し替えるという。大越が語る。
「われわれは30年間ずっとそうやってきたんです。おそらく姉歯さんは意匠審査の間に正規の書類をつくって呼び出しがかかったら差し替えようとおもっていたんでしょう。そうしたら呼び出しが来ずに差し替え前の書類が通っちゃった。エッと思ったんじゃない?だけど通ったら替えられない。呼び出しさえあったら、あの偽装は絶対になかったと思う。非常に不運というか、信じられない事件ですね」