from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

中流の苦悩と日中関係

麻生晴一郎「北京アンダーグラウンド『中流の自由と不自由』」(NHKラジオ中国語講座テキスト)から。

「北京の中流は悲劇的です。経済においてしか自由が存在しないのです。」
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海外事情に明るい中流の人々は、他方で外国と較べた場合の中国の制度上の遅れに目が行きがちでもある。中国の国会議員にあたる全国人民代表大会のメンバーは市民が投票して決まるわけではない。職場で自由に物を言うこともできない。そんな中流ならではの不満は周縁部に行けば彼らに限らず誰からとなく耳にする。一方で北京の中心部では耳にすることが少ない。
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「今の『反日』は中国内部の責任を外に転嫁する役割を持ってしまっています。反日に邁進しても、その結果もたらされるのは、日本は日本のまま西側先進国に列し、他方で中国は自由民主という世界普遍の価値からはじき出された古くさい発展途上国のままだということにすぎません」
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「日本の文化・社会など学ぶべきとところは学び、その上で言うべきことも言うべき。日本のものを排斥しようなどという発想をぼくは批判しないが、そんな恐れの裏返しのようなことをする意味はない」
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「中国にとって最も重要なのは日本を理解することだと思う。日本がわれわれにとって“はるか遠い隣人”であることはわれわれの発展にも、いわゆる中日友好の長期的な利益にとっても不利なことだ。日本は経済大国で、学んだり取り入れるべきことは多い。曖昧に理解したままでは何も解決しないのだ。文化老大国の態度で五千年文明などと大きなことを言うのではなく、政府やメディアは実事求是の態度で、深い理解の前提で、もっと現実の日本をそのままの形で庶民や若者に伝え、彼らに判断させるべきだ」