from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

景気失速、円高放置

BPnet「森永卓郎:総理がわびるべきは暫定税率よりほかにある」から。

福田総理は、去る3月31日、暫定税率の年度内成立が絶望的になった時点で記者会見を行ない、次のように述べている。「政治的混乱のツケを国民に回し、心よりおわびしたい」「しっかりとした見通しのないままでは子どもたちや孫たちなど将来世代へのツケをまわすだけになってしまいます。私としてはこの国と子どもたちの将来のためにも暫定税率の維持をお願い申し上げたいと思います」。
だが、暫定税率を1カ月取りはぐれたくらいで、わざわざ総理がおわびをするというのはおかしい。もっとおわびをすべき問題が、別のところにいくらでもあるではないか。
福田総理は、「暫定税率を廃止すれば財政に穴が開く」という前提で、おわびをしたのだろう。確かに、これは一見分かりやすい議論なので、つい言いくるめられそうだが、はたして本当に穴が開くかどうかは大きな疑問である。
もちろん、財政出動や減税をすれば、支出が増えたり収入が減ったりするのだから、その場の財政収支が悪くなるのは確かだ。超短期的に見れば、財政が悪化するのは間違いない。
だが、それで景気が刺激されて税収が伸びれば、中長期的には財政状態が上向く可能性も高いのである。むしろ、いまのように国民生活が収入減と物価高で追い詰められている時期には、減税が景気の失速を防いで、中長期の税収を増やす可能性の方が大きい。
財政出動や減税は長い目で見るのが当然のことなのだ。「減税することに決めたが、財政が悪化することになるので国民に申し訳ない」と謝罪する政治家など聞いたことがない。
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例えば、先月以来、急激な円高が起きたにもかかわらず、介入も何もせずに放置してきたことだ。その結果、どういうことになったか。財政への悪影響を言うならば、暫定税率廃止どころではない、はるかに大きなマイナスを日本政府は被ったのである。
まず、政府が保有している米国債が大幅な為替差損を生んだ。日本政府がいくら米国債を保有しているのかは公表されていないが、日本の外貨準備額や米国の国際資本統計をみると、少なく見積もっても6000億ドルにのぼるとみられる。
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急激な円高の影響は、米国債の為替差損にとどまらず、株価にも及んだ。
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株価の下落は、例えば、政府による新生銀行普通株転換にも大きな影響を与えている。政府が保有する新生銀行株の売却目標額は3500億円であるが、新生銀行を含む金融株が軒並み大幅下落したために、その半分程度しか回収できないのではないかと危惧されているのだ。

株価下落で年金資産も大幅に下落した。

東京新聞衆院で暫定税率を再可決 みなし否決56年ぶり適用」。

ガソリンにかかる揮発油税暫定税率を復活させる税制改正法は30日午後、衆院本会議で自民、公明両党など出席議員の3分の2以上の賛成多数で再可決、成立した。ガソリン1リットル当たり約25円の暫定税率は5月1日、1カ月ぶりに復活。原油価格の高騰もあり、レギュラーガソリンの全国平均小売価格は5月中に1リットル当たり160円を突破する見通し。福田康夫首相は「歳入不足が継続する無責任な状態を解消する必要がある」と述べたが、民主党などは猛反発、国会攻防の激化は必至だ。
みなし否決を経た衆院再可決による成立は、1952年の国立病院特別会計所属資産譲渡特別措置法以来、56年ぶり2例目。