マル激トーク・オン・ディマンド「新聞ビジネスはすでに破綻している」から。
新聞業界が抱えるより深刻な問題は、これだけの問題を抱えていながら、それに対する有効な施策をとれないところにある。そしてその最大の理由が、新聞の強大なメディア支配力ゆえに、他のメディアで新聞のこの構造的問題が明らかにされることがないからだ。新聞社は東京のキー局から地方局にいたるまでのテレビに、BS、CS、ラジオ、地方紙らを、資本関係と人的交流で強固な支配構造を作り上げた。このマスコミ同士のズブズブな関係が、メディア間の相互批判を妨げ、結果的に新聞の自浄能力を失わせている。
しかも、新聞は再販に加えて、国有地の払い下げや買収の脅威からの保護など、数々の特権を政府によって保証されている。新聞はすでに言論機関としての批判能力や権力の監視能力を発揮できる立場にはないと河合氏は指摘する。
一見新聞にとっては力の源泉となっているかに見えるテレビ局との系列化も、河内氏は新聞が牙を抜かれる原因となったと指摘する。1960年代から70年代にかけて、郵政族のドンだった田中氏の采配で5つの全国ネット放送局が5大紙と系列化されたが、本来政府から何の干渉も受けない立場にあったはずの新聞が、免許事業のテレビを抱えたことで、政府に対する批判能力はいやがおうにも低下したと河内氏は指摘するのだ。
- 作者: 河内孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03
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