from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

まず何よりも道路建設を優先するシステム

マル激トーク・オン・ディマンド「このままでは道路の暴走は止まらない

道路問題を長年調査し、数々の提言を行っている構想日本の加藤氏は、暫定税率やガソリン代値下げをめぐる議論は、道路問題の本質ではないと指摘する。道路問題の本質は、特定財源という形で道路予算だけがあらかじめ別枠で確保されている上に、道路計画が全て中央で決定され、しかもその決定過程が不透明な点にあると加藤氏は言う。
まず直視しなければならないことは、小泉構造改革で「無駄な道路を作らない」ために強行された特定財源一般財源化と道路4公団の民営化は、いずれも骨抜きにされ、有名無実化していたという事実だ。道路特定財源は維持され、形ばかりの道路公団民営化は行われたが、無駄な道路が作られ続ける構造は丸ごと温存された。
既に世界一の道路大国となっている日本で、これ以上無駄な道路を作らないようにするためには、道路特定財源を廃止し、道路計画の決定過程を透明化した上で、何が本当に必要な道路かを判断するために、地域の声を道路計画に反映させるしかない。しかし、この、小学生でも分かるようなごくごく当たり前の対応が、なぜかできない。しかし、もし日本がこのまま、戦後復興期に作った「まず何よりも道路建設を優先する」システムを変えるだけの政治的意思も、それを後押しする民度も持ち合わせていないならば、いよいよ財政が破綻するまで道路の暴走は止まることはないだろう。
しかしそうばかりも言ってはいられない。予定通り向こう10年間で60兆円分もの道路が作られれば、既に危機的状況にある財政の破綻が早まるばかりか、バイパスや高速道路建設による地域コミュニティの空洞化も進むことになる。バイパスや高速が建設されれば、地域の経済活動の中心がバイパスや高速インターチェンジ沿いの大型ショッピングセンターに移動し、旧市街地のシャッター街化が更に進むからだ。中央政府の机上で進められている道路建設計画は、そうした地域的な視点を無視して行われていることも問題だと、加藤氏は指摘する。