from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

政治的検定

東京新聞『集団自決「軍の強制」削除』から。

林博史関東学院大学教授(現代史)の話
沖縄戦の当時、住民は「捕虜にするな」と軍人から繰り返し言われていた。あらかじめ手りゅう弾も渡されている。当時の部隊長が自決命令を出したかどうかが大きな問題ではなく、住民は国家体制、とくに軍によって集団自決へと追いつめられた。教科書記述の修正は、これまでの沖縄戦研究を全部否定するような話だ。最近になって新しい証言や新しい研究が出たわけではなく、政治的検定としか言いようがない。

沖縄タイムス沖縄戦 ゆがむ実相

沖縄戦時下、日本軍の軍命と誘導による「集団自決」で百七十七人が亡くなった座間味村では、軍の関与を削除した検定に怒りの声が上がった。
日本軍と米軍の攻撃の中に取り残された中村一男さん(73)の家族は、日本軍に配られた手りゅう弾で「集団自決」を決行しかけた。「日本軍は各家庭に、軍が厳重に保管していた手りゅう弾をあらかじめ渡し、米軍の捕虜になるぐらいなら死になさいと話していた」とし、軍命否定は「歴史を歪曲することだ。私たちが戦争体験を語るのは事実を伝え、むごい戦争を二度と起こさないため。(国は)事実は事実として後世に伝えてもらいたい」と話した。
集合場所とされた忠魂碑前へ向かうが断念、その後も「集団自決」しようとする家族を止めた宮里薫さん(74)は「書き換えで、軍命でなくなったのはおかしい。あれは軍の命令だった」と憤った。
「僕の家族にも一発の手りゅう弾があった。軍のものだから、民間が勝手に取ることはできず、渡されたのは住民は死ねということだ。軍命がないというのは、住民の実感に合わない」と批判した。