from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

チャチな外交

JMM『「グレースランド外交の意味するもの」from 911/USAレポート』

ブッシュ=小泉の日米首脳会談の中でも、これほどまでに話題にならなかった会談は初めてです。
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そんなわけで、首脳会談に関する報道は低調でした。とりわけ、日本側では大きく取り上げられていた「北朝鮮のミサイル」や「日中関係」の問題など、具体的な会談の内容についてはTVでは全く報道されていません。
これに対して、翌日のテネシー州メンフォスにあるエルヴィス・プレスリーの邸宅「グレースランド訪問」については扱いが大きく、首脳会談よりもこちらの方がメインという印象です。
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ところで、オーソドックスな外交の考え方では「国際親善は相互主義」が厳格なタテマエのはずです。ですから、小泉首相がプレスリーに心酔しているのなら、ブッシュ大統領も同じような「情熱」をもって日本の文化を称揚するべきでしょう。ですが、そんな気配は全くありません。
では、アメリカでは「小泉首相が一方的にアメリカ文化にかぶれていて、ブッシュ大統領が日本を尊敬していないのは失礼」というムードがあるのかというと、それはゼロだと思います。それはアメリカが「自国の文化が一番偉い」と思っているからではなくて、「外国の文化を理解したり、称賛したりする」ような「高級な」ことは、ブッシュ夫妻には期待されていないということだと思います。
その意味で、サングラスをかけて踊るような「バカなことのできる」小泉首相に対して、それを「微笑ましく見ている」ブッシュ大統領の方が「偉そう」に見えるという印象はありませんでした。その延長で「小泉=ブッシュのポチ」というような、日本で言われているイメージはありません。この日の報道で見る限り、小泉首相はバカにされるどころか、十分に興味を持たれ、ある意味では「顔の見えない日本人」というイメージを覆したとも言えます。
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もっともっと、人と人がホンネでぶつかり合いながら、一緒に問題を解決してゆく大人の関係、そうした意味では現在の日米関係は全く未熟です。「地球規模の同盟」でも何でもありません。その意味では、個人の思いつきと、バラバラの懸案について政治的な貸し借りをすることだけで成り立っていた「ブッシュ=小泉」のような「チャチ」な外交が終わってゆくのは良いことだとも言えるのでしょう。日米関係は、ここから先の成熟が非常に大切であると思います。