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子育ての日々の断片を書き綴る

日米関係最優先の限界

昨日、BSで中国の中央テレビの放送を見ていたら、APECのことを報道していた。小泉首相の顔は最後まで出てこず、ちらっと後ろ姿が写っただけだった。
河北新報ニュース「APEC首脳外交/日米関係最優先の限界示す」。

小泉純一郎首相はブッシュ米大統領との会談で「日米関係が良ければ良いほど中国、韓国などと良好な関係を築ける」と強調した。だが、その言葉とは裏腹に、日本のアジア外交は深刻な行き詰まりをみせている。その現実を浮き彫りしたのが今回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)を舞台にした首脳外交だった。
首相が10月に靖国神社に参拝し、一段と冷え込んだ日中、日韓関係。韓国の盧武鉉大統領はAPEC議長国として儀礼的な会談に応じたが、中国は首脳だけでなく外相も会談を拒否する異例の対応だった。
 日韓首脳会談で盧大統領は、首相の靖国参拝は「韓国に対する挑戦」と批判し参拝中止を求めた。小泉首相は従来の参拝理由に加え「両国とも米と同盟関係にある。友好関係を促進する考えに変わりはない」と説明したが、来月の大統領訪日には双方とも触れずに終わった。
APECを境に日本と中韓の対立は首相の思惑とかけ離れた方向に進んでいる。
日米首脳が京都で会談した日、ソウルでは中韓首脳が会談し、靖国問題に共同対処する考えで一致、歴史問題が「北東アジアの協力と発展に否定的影響を与えてはならない」と表明した。二国間問題から「北東アジアの地域問題」へと格上げすることで、日米同盟を後ろ盾に強硬姿勢を崩さない首相に再考を促す狙いとみられる。
ブッシュ大統領は、米の国益にも悪影響が及ぶと心配したのだろう。盧大統領には韓国や日本などアジア主要国が良好な関係を維持するよう望むと伝え、小泉首相には日中関係の見解を尋ねている。
 北朝鮮の核問題を平和解決するには、6カ国協議での日米韓の緊密な連携が欠かせない。日米と韓国間には立場の違いが目立ち、さらに日韓の冷却化が進めば3カ国の連携はおぼつかない。北朝鮮を利するだけだ。
中国の台頭により域内主要国間のバランスが変化する中、米は日本に「中国を国際社会のメカニズムに加える積極的な役割」を担ってほしいと期待している。しかし、首脳同士が会って話すらできない状況では、この役割は望むべくもない。
首相は「靖国参拝は心の問題。外国が干渉すべきではない」と反論してきた。だが、今や「個人の問題」が「国際化」しつつあることを認めないわけにはいかないだろう。首相は日米会談で「日米関係は最も重要。国際協調にもう少し比重を移せという議論があるが、賛成しない」とも述べた。このままだと、いずれ米の東アジア戦略ともずれが生じよう。