from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

アフォーダンスは行動を引き起こさない

samso2005-09-01

今朝はなんとか朝ご飯は食べたが、まだぐずぐず。期待していたんだけれど。
今日は某主催のシンポジウムに参加するために新宿まで出かけた。
生態心理学者の佐々木正人さんの「アフォーダンスは行動を引き起こさない」という講演を聴いた。アフォーダンスは、米国の心理学者ジェームス・ギブソンの造語。アフォーダンスとは、「使いやすさ研究所 用語解説」によれば、「物体の持つ属性(形、色、材質、etc.)が、物体自身をどう取り扱ったら良いかについてのメッセージをユーザに対して発している、とする考え」。「インターフェイスのデザインにアフォーダンスを利用すると、ユーザはその扱い方を知らずとも、その時々物体の方が扱い方を教えてくれる」と。この考え方にちょっと疑問を呈するような内容だった。カブトムシを仰向けにして、カブトムシがあらゆるエッジを探し当て起き上がる様子を観察することなどで、「ぼくら人間を含めてあらゆる動物がこの世界でしていることは、原理的にカブトムシの『起き上がり』と同じ。ぼくらの行為はどんな場合も、反射のように固定してはいない。行為はとことん多様である。だが、けっしてランダムに起こらない。際限のない試行錯誤なんかしていない」。これをアフォーダンスでどう説明するんだということ。あかちゃんが初めて寝返りする、ハイハイしていて段差があるところで動作を緩める、立ち上がったときに初めて壁というものを認識するところなどをビデオで見せていたが、その行為をアフォーダンスで説明することは難しいように思えた。アフォーダンスというのはそういう行為を繰り返したあとでできた生活習慣のようなものということかな。アフォーダンスを日本に紹介したのは佐々木正人さんのようだが、アフォーダンスというものに疑いをもっていているようで、配られた資料には「ぼくらの行為がこの環境のなかでしていることは、環境にあってぼくらを取り囲んでいる多様な意味を探し当てることなのである」と書いてあった。子どものときはもっと「多様な意味を探し当てる」ことをしていたように思うが、大人になると自分で「多様な意味を探し当てる」ことはしなくなる。習慣に従うだけになる。子どもの行動をもっとしっかり観察しないとなあと思った。