from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

スラムダンクに夢中だった

NBonline「スラムダンク」が中国にもたらしたもの』。

1990年代、日本動漫(アニメ・漫画)「セーラームーン」が中国の少女たちを“変身”させていたちょうど同じころ、中国の少年たちは「スラムダンク」に夢中だった。
90年代初頭、「週刊少年ジャンプ」誌上で連載がスタートした井上雄彦作のバスケットボール漫画「スラムダンク」は、日本国内で大ヒットし、アニメ化されるとさらに人気が加速。スーパースター、マイケル・ジョーダンを中心とする米国のNBA(National Basketball Association)人気とあいまって、一大バスケブームを巻き起こした。
その余波は、なんと中国にも伝わっていたわけである。1996年、中国で「スラムダンク」がテレビ放映された辺りから、中国における日本アニメブームは全盛期を迎えるようになっていた。
中国全土で史上空前のバスケット熱が巻き起こり、中学、高校、大学と、どのキャンパスでもバスケに夢中になる若者たちが激増した。男子生徒は昼休みの時間を利用してバスケに興じ、バスケット部は大盛況となる。女子生徒たちは熱いまなざしと声援で熱狂的にバスケ部員を応援し、中には女子バスケに参加する者も増えたくらいだ。
80年代から90年代にかけて、アジア、ヨーロッパで人気を獲得したサッカー漫画「キャプテン翼」も中国でのサッカー熱を招いたが、「スラムダンク」の熱気には到底及ばない。
「『スラムダンク』が放映される夕方の時間帯には、みんな必死で家に戻ってテレビの前に陣取りましたよ」
取材した中国の大学生の男の子の1人はこう語ってくれた。
「見そびれた場合は、昼間の再放送を狙うんです。中学校の近くのテレビが置いてある食堂に駆けつけたものです。食堂はいつも『スラムダンク』を見たい生徒たちで超満員。授業のあと、ダッシュで走っていかないと席がなくなっちゃう。店の主人も、生徒たちの熱気に押されて、立食しながらの視聴を許してくれました」
女の子たちは「スラムダンク」の登場人物、ハンサムで無口でクールな天才プレーヤー、流川楓(るかわ・かえで)に憧れる者が多かったので、その雰囲気に近づこうと、男の子たちは頑張ったそうだ。流川のキャラクターである「酷(クー)」(クール)という言葉も流行っており、それに拍車を掛けた。当時、若者たちは「スラムダンク」のコミックを、「青春の教科書」と呼んだという。