from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

三ちゃん農業

NBonline温家宝が訪ねた「小学生の家」1億5000万人の出稼ぎ者に取り残された子供たち』から。

中国の経済発展に伴い、都市部における労働力不足が深刻化したのは80年代中頃からであったが、時期を同じくして農村部でも農業の生産技術が急速な進歩を遂げて余剰労働力を生み出した。都市部の需要と農村部の供給がうまく結びついたことにより、80年代中頃から農村部から都市部への巨大な人口移動として農民たちの出稼ぎが始まったのである。
その頃から中国の農村労働力は“386199”部隊を主とするようになった。これらの数字はそれぞれ中国の「祝日」を表し、“38”は3月8日の「国際婦人デー」、“61”は6月1日の「国際児童デー」、“99”は旧暦9月9日の「老人の日」(別名は伝統的な「重陽節」)を指す。すなわち、婦人、子供、老人を主体とする中国式の「三ちゃん農業」が始まった。
「留守児童」はこの頃から始まったと考えるべきで、当時の留守児童第1世代は現在20〜30歳代で、彼らは既に子供を故郷に残して出稼ぎに出ているかもしれない。これは中国農民の宿命かもしれないと言った人がいるが、中国の都市と農村という社会の2元構造が生み出したのが「留守児童」であり、その根源は農村にあるのではない。
現在、中国で故郷を離れて働く出稼ぎ者の総数は1億5000万人以上と言われているが、彼らが故郷に残している「留守児童」の総数は2000万人以上と推定されており、甚だしくは7000万人に達しているとの説もある。
留守児童の統計によれば、父母のいずれか一方が出稼ぎに出ているのが57.2%、両親共に出稼ぎに出ているのが42.8%となっている。また、留守児童の預け先は、父方或いは母方の祖父母が79.7%、親戚や友人が13%、不特定或いは監督保護者なしが7.3%となっている。
父母が常に一緒にいないということは、たとえ祖父母に預けられたとしても、留守児童にとって心理的な負担は大きい。父母の愛情を確かめられず、頼るべき拠り所を持たず、監督者が不在であることは留守児童に大きな影響を及ぼしている。ある調査は次のような問題を指摘している:
[1] 十分に面倒を見てもらえないことから、栄養不良などで健康に問題が起こる。
[2] 留守児童も家事や農業に従事することから、成績低下となり不登校につながる。
[3] 父母の愛情が欠如することにより性格的欠陥を生んだり、心理的障害に陥りやすい。
[4] 家庭教育の欠如や道徳心の不足により違法な犯罪行為を起こしやすい。
[5] 父母が傍らにいないことから危険な目に遭ったり、いじめられることが多い。