東京新聞『いじめと生きる第2部大人は分かってない⑤思いこみ 「死に急ぐ」実はあやまり』から。
「最近の子どもは自殺しやすくなっている」の俗説に疑問を抱いたのが熊本大名誉教授(臨床心理学)の勝俣暎史(六九)。子ども(小、中学生、高校生)の十万人当たりの自殺者数=「自殺率」を七八年に遡って調べている。結果は事実なし。俗説は「誤り」と結論づけた。
勝俣同様、警察庁資料や文部科学省の学校基本調査を用いて、八六年以降も合わせて集計してみた。
子どもの自殺率は、ほぼ横ばいだ。少なくとも「最近の子どもは死に急ぎやすくなっている」と特に言いたてるほどの変化はない。
だいだい、未成年者の自殺者の数だけ単純に比べれば、二〇〇三年で一九五五年当時の五分の一。外国と比べても、数年前の統計では、日本の五−十四歳の自殺率は、データのある十二カ国中、低い方から二番目なのである。
むしろ問題は、子どもたちに「死なないで」と呼びかける大人の方だ。〇五年で、大人を含む全体の自殺率は子どもの十三倍。もし大人だけで数字をはじけば、もっと差は広がる。
九八年以降は、九七年までの水準から急増したまま推移している。死に急ぎやすくなっているのは、実は「最近の大人」なのだ。昨年は校長や裁判官までが自死している。
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