from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

合理的な経済人

月刊現代12月号「竹中平蔵 仮面の野望 前編」から。

竹中は「サプライサイダー」とみられている。供給側を重視する経済学者、生産側を、企業サイドの活性化を重要視する立場である。竹中の経済観はそのまま小泉構造改革の思想になっているといってもいい。「小さな政府」と「競争社会」。竹中の思想はどこから出てきたのか。それは日本の社会を導く思想と呼べるものなのだろうか。
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竹中は初めてのアメリカ滞在で、政治=レーガノミックス、経済学=反ケインジアンの流行、の両面から影響を受けることになる。
設備投資の研究をしていた竹中が行き着いたの当時ハーバード大学の新進気鋭の経済学者だったアンドリュー・エイベルだった。エイベルは「合理的期待形成」の考えを設備投資の研究に導入して注目されていた。
「合理的期待形成」というのは経済活動を行う人々の将来に対する見通しのことなのだが、経済学のなかでは独特の意味をもつ。
まず、人は「合理的な経済人」であるという前提を置く。自らの行動が市場にどのような影響を与えるかを予想し、そのうえで現在の行動を決める。各人が経済の構造について完全な知識をもち、市場価格がどのような確率分布をするかまで計算できるという前提に立っている。
もちろんそのような「人」は実在しないが、この前提を置くと整然とした理論を構築できる。合理的期待形成のこのような考え方を受け入れると、結果として、政府が介入しないで市場機構にすべてを委ねておけば、もっとも効率的な資源配分が達成できるという結論が導き出されてくる。

昨日のサンデー・モーニングで、竹中平蔵氏は、所得格差が広がっているかは分からないとしたうえで、敗者には、復活する手だてとして資本金1円で起業できるようにしたと言っていた。