from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

民主化はお腹いっぱい食べられるようになってから

中国ビジネスのススメ「自由はないけど、国民が幸せに暮らせる国家」。

私は、実のところ、中国共産党が中国歴代王朝のように独裁政治を続けるのは、悪いことだとは思っていません。
私は民主主義国家・日本で生まれ育ちましたので、中国に来た当初は、中国も早く民主化するべきだと思っていました。しかし、中国に住んで、いろいろと事情がわかってくるうちに、「民主主義」という政治体制は、必ずしも万能ではない、ということがわかってきました。
今では、むしろ、中国共産党一党独裁を続けた方が、中国人民の幸せのためである、とさえ思っています。
今の中国にとっては、自由より何より、いかに早く、全ての国民がお腹いっぱいで幸せに暮らせる状況を作り出すか、の方が、はるかに重要な課題です。そのためには、コストが高く、手続に時間がかかる民主主義よりも、国民の権利をある程度制限した、独裁政権の方が適しているのです。
立ち退き交渉が難航して、何十年経っても環状道路が輪っかにならない国と、立ち退き交渉がないので、2-3年で、きれいな輪っかの環状道路ができる国。どちらの国の経済効率が高いかは明白です。
歴史にifはない、というのは承知の上ですが、もし、1989年の天安門事件で、中国共産党が学生たちの民主化要求をのんでいたら、中国の今日の高度経済成長はなかった、と私は思っています。
民主化するのは、中国が世界一の経済大国になって、全ての国民がお腹いっぱい食べられるようになってからで良いです。
アメリカは「自由がなければ、国民は幸せになれない」と言います。そして、独裁国家を片っ端から叩き潰して、世界中を民主主義にする、と言います。
しかし、今の中国を見ていると、アメリカの主張は、必ずしも正しくないような気がしてきます。
自由はないけど、国民が幸せに暮らせる国家は実現できるのか。中国共産党の壮大な実験は、今後も続いていきます。