BPnet 『大前研一:「足し算の民主党」では経済は立ち直らない』
足し算内閣が90兆円を超える歴史的な予算をまさに生み出そうとしている。しかし、こうした浮ついた無駄遣いは金融の世界では見逃されることはなく、いずれ国債の暴落となってくる。今のところ民主党のアイデアは郵政事業を再度国営化し、郵貯と簡保の資金をそのまま国債買い取りに向かわせよう、という戦術らしいので、一応やっていることは首尾一貫している。
しかし、郵便局がアブナイ国債を買うだけ、という内情が明らかになれば、いずれにしてもどこかで「裸の王様」がバレる。その時アルゼンチン(2002年)と同じデフォルトになるのか、それとも、国民に詫びて「徳政令」をだすしか方法はないだろう。将来の少ない人口でGDPの2倍にもなってきている巨大な旧国債を償還する能力は到底ないだろう。おそらくデフォルトしたあとで4割くらい割り引いた新国債と交換してあげる!などの徳政令しか、政府にはあまり打ち手がないことも事実だ。
新政権を取った民主党は行政の無駄をなくします、と言いながら、当面はマニフェスト優先で「足し算」状態が続くのであろう。国民がいつ気が付き、どのあたりから怒りがこみ上げてくるのか、自民党政権を少なくとも10年くらいは延命させすぎてしまった国民性から見て、余り楽観視はできない。