from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

ホワイトカラー・エグゼンプションを導入する前にやるべきこと

nikkeibp.co.jp「ホワイトカラー・エグゼンプション導入は時期尚早」。

そもそも経営者側の意図が「コストカット」なのは間違いない(反論もあるかもしれないが、だったらフレックス勤務で我慢しろと言いたい。月トータルでの時間規制が残るとはいえ、効率化にはフレックス勤務で十分だ)。問題は、それが果たして彼らの言うように「仕事の効率化を推進し、労使双方の側にもメリットをもたらす」ものであるかどうかだ。
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実はこの主張、90年代後半に、日本企業が争って成果主義を導入した際の経営者たちの論理と全く同じである。「もう時間ではなく、成果で報酬に差をつけるべきだ」という考えは、1995年の「新時代の『日本的経営』」(旧日経連編)において既に見られるものだ。
だが、アメリカから輸入された目標管理や裁量労働制は、企業現場に深刻な機能不全を引き起こしただけだった。ほとんどの日本企業は、いまだ年功序列に変わる成果型の人事制度を構築できていない。
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失敗の原因は明らかだ。そもそも職能給をベースとする日本企業では、労働者間の業務の切り分けがきわめて曖昧(あいまい)であり、権限や責任の所在が不明確だという特徴がある。社内組織についても、長く続いた年功序列制度の結果、多くの序列とポストで階層化が進み、主任や課長といった序列には、もはや独自の裁量を振るう余地は少ないのが実情だ。人事権や予算権など業務上の権限を持っているのは、部長級以上の管理職層だけだろう。成果に対する責任を負わせるには、それを生むだけの権限が必須なのだ。それが、今も昔も、日本の会社員には欠けている。
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経団連会長はの御手洗冨士男氏は社長時代、「業務の妨げになるから」という理由で自社のフレックス勤務を廃止した前科がある。そんなお方が「従業員の裁量を尊重するべき」という理由で、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を推進しているのは、性質の悪いジョークとしか思えない。