from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

告発社会

nikkeibp.jp中国におけるコンプライアンスと告発」。

行きつけの日本人マスターの店に食事に行ったところ、いつもは厨房で采配を振るっているマスターが、白衣を着ずに厨房の外でたたずんでいます。聞けば、「中国人の個人経営の店で、日本人が違法に労働している」という理由で密告を受け、公安の取り締まりにあったそうです。その結果、マスターは今後店にいることはできても、厨房やホールで労働ができないことになったそうです。
・・・・
外国人オーナーが中国で中国人の名義を借りて店を開くことが多くあります。レストランやバーなどの飲食業に限らず、美容室、コンサルタント会社、販売店など広範に及んでいます。
・・・・
中国ではコンプライアンスが守られないということが、しばしばあります。(1)違反者が多いために取り締まりきれない、(2)法律の概念がなく、違法とは知らずに違法行為を行なっている人々がいる、というのがその理由です。
・・・・
コンプライアンスの問題が、告発を契機に市民の間で議論され、法律の不完全な部分が改正されていき、その問題をめぐる人々の法律意識も整備されていくのですから、告発は現在の中国にとって、有効な役割を担っていると言えるのではないでしょうか。
・・・・
昨今のコンプライアンス重視の風潮により変わりつつありますが、日本では告発について「密告」「ちくる」いう言い方をすることがあり、後ろめたいこととして捉えられる伝統があったと思います。
反対に、中国では告発を後ろめたいこととは捉えていません。むしろ、伝統的で身近なものであり、積極的に活用しているように思えます。例えば中国の歴史書を読むと、臣下の謀叛が告発や密告によって明らかになる事件がしばしば起きていますし、文化大革命国営企業の時代にも告発や密告を積極的に活用していたと聞いています。