from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

自民党のお家騒動と小泉派閥の誕生

萬晩報「総選挙の真の対立軸は小泉vs亀井」から。

小泉首相にとって郵政民営化問題は目的ではなく、抵抗勢力自民党から切り離す手法の一つだったのだ。そういう目で今回の総選挙を見ると小泉自民党の主戦場は民主党との全面対決ではなく、広島6区であり、東京10区なのだということが分かる。この時点で自民党内の抵抗勢力を一挙に排除できれば「勝った」とほくそえむのだろうと思う。

今回の選挙は自民党のお家騒動に付き合わされているだけのものと言えるかも知れない。自民党が勝てば、小泉派閥の誕生だ。なんで来年で辞めると言っているのかと思っていたが、最大派閥のドンにおさまり、真の権力者になるということなのかな。
小泉政治とは何なのか。MIYADAI.com Blog「民主党がとるべき道とは何か(インタビュー)」から。

小泉政権の性質を見ると、小泉氏には、バラマキ政治に終止符を打つ正義感がありつつ、清和会的な金融族利権と、旧経世会への憎悪があります。正義感と利権と個人的感情の、重ね焼きなのです。
■加えて外的事情として、今日的ポピュリズムと、米国の意思が重なる。まず石原慎太郎人気や9・11以降の米国世論動向と同種のポピュリズムがあります。国民の不安を煽り、鎮められるのは俺だけだと男気を示す、という伝統的戦略です。
■また小泉氏は旧経世会的なカネやコネのバックかない分、米国をバックにしてきました。横須賀育ちなのもある。イラク自衛隊派遣から郵政改革まで、一貫した米国一辺倒。340兆円の「国民の虎の子」を狙う米国金融界は郵政民営化を望み、米国政府の年次改革要望書の筆頭項目です。
■正義感、金融利権、経世会憎悪、ポピュリズム、米国好きの5要素で彼の行動は説明できます。

誰が支持者なのか。「旧保守でなく、新保守=都市型保守」だと。

■亀井氏や綿貫氏の支持層は旧保守。旧保守は集権的再配分を目指すので左派的です。再配分を望む地方の弱者が、旧社会党じゃなく自民党を頼るのは自然。だから自民党政治が永続し、小選挙区制でも二大政党が実現しなかったのです。それが小泉氏で変わった。
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見田宗介氏が八月一六日の『朝日新聞』で、日本は経済水準が高いのに「とても幸福だ」と答える人が極端に少ないと語ります。アマルティア・センの言葉だとケイパビリティが低い。すなわち多様な仕事、多様な趣味、多様な家族、多様な性を、自由に選べそうで、実は選べない。制度的に選べないのに加え、主体の能力が低いので選べない。鬱屈と嫉妬が拡がるばかりです。
■そうした国民は、「決然」「断固」に象徴される小泉的振舞いからカタルシスを得ます。現に都市部の若者は「気持ちいい」と口々に語る。それが新保守の感情です。
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■彼は十年前から、バラマキ政治を続けたら未来はないと主張しています。完全に正しい。財政赤字を積むバラマキは、もの言えぬ子孫からの収奪で、倫理的に許されない。すぐにやめるべきです。
■でも、バラマキをやめるのと、弱者を放置するのとは別問題。現に社会的弱者だからこそ噴き上がる都市型ヘタレ保守は、小泉流「決然」にカタルシスを得ても、そのあと幸せになれません。

宮台さんが言う「都市型保守」だけでなく、「社会全体が富を追求していく中で、世の中の不平不満を持たず、ただ自分の豊かな生活を守りたい『生活保守主義』(石川真澄さんによる造語)」者も支持者なんだと思う。
Wikipediaによれば、日本の「新保守主義」とは、

基本的な部分は保守主義と同じで過去から現在に至るまでの連続性を尊ぶが、状況によっては変化や断絶を積極的に行うべきとの考えを持つ。外交的には憲法改正と日米同盟の強化、限定的にされた範囲内で中国や北朝鮮への強硬姿勢や国際秩序を乱す行為に対しての国家権力の行使を躊躇わない。内政的には規制緩和国鉄電電公社などの民営化)と構造改革自由経済の尊重、福祉政策は小さくあるべきとの考え方だが、基準を設けて最低限の社会保障を整備する。道徳的には個人の自助努力を最も尊ぶべき価値観に据える。