from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

人民元切り上げ

産経新聞

今回の切り上げ幅がわずか2・1%にとどまったのは中国経済のソフトランディング(軟着陸)を狙った結果だ。中国経済は「9%成長」を続けているものの、国内には多くの不安定要因が残っている。いまだに総貸出額に占める不良債権の割合が15%を超える四大国有商業銀行、沿海部と農村部の貧富の差の拡大−。切り上げによって人民元高が進むと、競争力の劣る中小企業が淘汰(とうた)され、中国経済の失速を招きかねない。
 中国政府がこの時期を選んだのは、対中貿易赤字の拡大を背景にした米国の圧力が鳴りを潜めつつある中、中国側の「メンツが立つ」(財務省筋)と判断した結果との見方もある。市場関係者の間では、「切り上げ判断の権限を持つ」(国際金融筋)といわれる中国の胡錦濤国家主席が九月中旬に訪米することから、「八月説」が有力視されていたが、中国側は七月に切り上げに踏み切り、「サプライズ(驚き)」を演出した格好だ。