from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

新銀行東京

BPnet「大前 研一氏:いよいよ瀬戸際、新銀行東京」から。

彼らが都政について批判的な記事を掲載すると、石原都知事は、記者の個人名を挙げて文句を言うのだ。それで記者は記者クラブからのシャットアウトを恐れてやがて彼の批判を書くことをためらうようになってしまったのである。その程度のことで筆を鈍らせる記者も記者だが、石原氏も石原氏だ。批判を許さず、ねちねちと個人名・新聞名まであげつらうなどは行政の長の態度ではない。どこぞの国の独裁者のすることと同じではないか。
ところが、さすがにそういう詰め記者たちも、今回の騒動に関してはみんな呆れてしまっている。ためにこれまでの態度を一変、批判的な記事が掲載されることになったのである。特に呆れられたのが、石原都知事が責任を経営陣にかぶせたことだ。彼は「経営陣に問題があったから訴追を含めて検討する」と言った。あたかも自分にはまったく非がないと言わんばかりだ。
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東京銀行の失敗の要因は外部にもある。つまり、石原都知事や経営陣以外にも要因がある。その外部の要因とは、既存の大手銀行のことだ。彼らは新銀行東京を「ネギをしょってきたカモ」としてしか見ていなかったのだ。
融資先には、回収の見込みのあるところと見込みのないところがある。彼ら大手銀行は、見込みのないほうに対して、「新銀行東京という、いいところがありますよ」と紹介して、自分たちが貸した金の肩代わりをさせたのだ。新銀行東京の初期のころの貸出先は、結局、ほとんどこういうところだ。そして貸出先の半数近くが焦げ付きの原因となっている。
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石原知事が400億円突っ込んだらロスが少なくなる、と言っている理由もこれで明らかになった。つまり、出入り業者に新銀行とのつきあいを強要すれば、利益がザクザクと出てくる、損失は改善する、という報告が下から行っているからだろう。つまり、まともにやれば史上最低の銀行だけれども、都の利権を活用すれば見かけ上、利益は面白いように上げることができますよ、という人が内部にいるに違いない。いよいよ、その隠し球を使いましょう、というささやきに彼は乗ってしまったのである。