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子育ての日々の断片を書き綴る

腰くだけ対策

NIKKEI NET「温暖化防止に経済的手法の早期導入を

京都議定書で定められた温暖化ガス排出削減の目標を、この程度の対策で達成できると思っているのだろうか。環境、経済産業両省は排出削減の目標達成計画の見直しに向け合同審議会に中間報告案を示したが、抜本的な政策転換や新たな手段の導入は一切なかった。日本政府の真剣さが疑われるような素案である。
素案は排出削減が遅れているオフィスなど業務部門や家庭部門の対策強化を柱にし、公的施設の排出削減のほか、住宅や建築物の省エネ規制の拡大などを織り込んでいる。だが、排出量が最も多い産業関連部門日本経団連の「自主行動計画」の参加業種拡大の要請にとどめている。排出削減に経済的価値を持たせ、市場原理によって削減を推し進める代表的な手法の排出権取引は2013年以降に導入を先送りし、環境税導入も議論を避けている。
議論のたたき台とはいえ、こんな腰の引けた対策では目標達成はおぼつかない。安倍晋三首相はドイツで開かれた主要国首脳会議で50年に世界の排出量半減を提案し、首脳宣言に盛り込んだ。京都議定書の目標をまず達成してこそ、半減への道筋もつけられる。首相が温暖化問題で主導権を発揮しようと動いても、官僚が小手先の対応に終始しているようでは、日本の提案が説得力を持ち得ない。
日本の温暖化ガスの排出量は05年に1990年比で約8%増加している。議定書で定められた6%削減という目標達成には相当の覚悟が要る。しかも新潟県中越沖地震柏崎刈羽原子力発電所が被害を受け、7基の原発が1年以上、運転再開できない見通しになった。原発稼働率を高めればある程度の削減が見込めるという計算も通用しなくなった。状況は極めて厳しい。