from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

ライブドア事件

R30ライブドア死すともデイトレは死なず」から。

マスコミが指摘するべきだとしたら、「六本木ヒルズ族に対する懲罰」とかそういうことではなく、「デイトレ投資家に最適化するような行動を取る企業が出てくる日本の証券市場の構造をどうにかしろよ」ということなんじゃないのか。今の日本では、楽天なんかまさにそうだけど、株式の長期保有にふさわしい「堅気な企業」になろうとした途端に株価が下落し、M&Aなどを使った成長戦略が描けなくなってしまう。資本市場のせいで、堅気になりたくてもなれないというジレンマがあるのだ。
これって誰のせいかと言われれば、長期保有株主をコケにしまくってきたNTTを初めとする日本の伝統的大企業の資本政策のせいであり、また投資家の長期的利益を尊重した経営をするように大企業に株式市場を通じた圧力をかけてこなかった「ぬるま湯の創造者」たる年金基金や投資信託といった大口機関投資家のせいである。つまり構造的な問題なのですよ。
だから、たとえ今ライブドアを潰しても、日本の証券市場では短期売買の方が儲かるという(個人)投資家の信念を変えない限り、第二、第三のライブドアは生まれてくる。ライブドアの存在は、資本市場のプレーヤーの信念と持ちつ持たれつなのだから。霞ヶ関の方面に黒幕な方々がいらっしゃるようでしたら、ぜひそこんとこをよくお考えくださいな。

渦状言論「ライブドアとオウム?2 」から。

このライブドア事件をきっかけとして、このところようやく日本社会で盛り上がってきた世代交代への熱意は急速に冷める可能性がある。学生起業や個人投資は虚構で、手堅いのは大企業就職だ、といった保守的なメンタリティが力を強める可能性がある。団塊ジュニア〜ポスト団塊ジュニアへの風当たりは強くなるだろうし、チャレンジングな新世代を支持する知識人(たとえば宮台真司は、昨年3月の僕と北田暁大のトークショーに乱入し、当時ニッポン放送の買収劇を繰り広げていた堀江を熱烈に支持していた)は活動しにくくなるかもしれない。
しかし、それはまちがっている。世代交代は進むべきだし、日本社会はもっとアグレッシブになるべきだ。情報技術はますます社会環境に浸透していくべきだ。そしてその変化を担うのは、いまの20代、30代、すなわち団塊ジュニア以降の世代でしかありえない。これは世代論的感性の問題ではなく、単に時期の問題だ。