from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

敵が同盟国になった例

朝日新聞米国、語学力ある軍人を優遇へ 中国語も対象」(2006年01月08日)。

全米大学学長会議が5日、米ワシントンで開幕した。ブッシュ米大統領が会議に出席し、アラビア語テレビ局が米国をマイナスの角度から報道していることに不快感を示すとともに、アラブ世界の誤った米国観を正すために、より力を入れる必要があるとの考えを表明した。さらに、「重要外国語」の教育を強化することを盛り込んだ「国家安全保障語学構想」を提案した。

JMM『「情報の恐ろしさ」from 911/USAレポート』から。

ブッシュ大統領が今日、1月5日に全国の大学の学長を集めた会議の席上で行った演説は興味深いと思います。
ブッシュはこの演説の中で「反テロ戦争」には短期の戦略と、長期の戦略があると言っています。そして、短期的には「強硬策を続ける」としながら、長期的には「語学の専門家を養成」するというのです。アラビア語、ファルージ語、ウルドゥ語を流暢に話す「情報工作員」や「外交官」がもっと必要だからだというのが理由です。
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この日のブッシュのスピーチの後半は、実はその日本に関する大演説でした。「コイズミはプレスリーのファンなんだ」から始まるいつもの「ネタ」ですが、この日はとりわけ念が入っていました。「41(第41代大統領)が19歳の時に戦った日本の、その国の首相と、その息子の43(第43代大統領=自分)が友人になって、一緒にイラクに兵力を出して若い民主主義を助けようとか、北朝鮮の問題をどうにかしようとか、相談したりしているのは感動ものなんだ」というのです。
とりわけこの日の演説では「日本のケースは自分たちにとってはファミリーのドラマ」だと言い切っています。そして「敵が同盟国になった例」だと胸を張っているのです。例によって、イラクもそうするのだというのですが、演説のこの小泉首相に関する部分は、恐らく日本では報道されていないのではないでしょうか。
選挙に勝ってキングメーカーとして9月の政局をにらんでいる小泉首相としては、そんな形でブッシュ大統領から「子分扱いされてほめられる」のは自分のイメージダウン以外の何物でもないのでしょう。そんな首相周辺の気分、そして、他でもない日本の世論が「そんな話は聞きたくない」というムードを察して、日本の報道機関は、この「情報」を避けてしまっているのに違いありません。このように恣意的な「取捨選択」が入る、というのも「情報」の恐ろしさの一面なのです。