from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

対米従属

田中宇:アメリカの戦略を誤解している日本人」から。

なぜ小泉政権は、与党内の反対を独裁的に抑圧し、急いで自衛隊を正規軍に格上げせねばならないのか。私なりの答えは、先週すでに書いた。「米軍が日本から撤退するから」である。
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米軍が日本から出ていくという表明はすでに、日本の官僚や専門家らの間で、ブッシュ政権の対日政策の要諦とみなされている2000年の論文「アーミテージ・レポート」に書かれている。この論文には「アメリカは、戦力を低下させない範囲で、日本における米軍の駐留を削減していくことを目指すべきである」と書かれている。
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日本人の多くは、このレポートに込められた戦略は「アメリカが日本を、従来の経済面だけでなく、軍事面でも、アメリカの好きなように使える下請け的存在に変え、アメリカのために日本が派兵する状態を作ろうとしている」というもので、日本に対米従属の永続を強いるものだと考えている。ところが私が読み解くところでは、この理解は間違いである。この論文には「日本はアメリカに従属するのではなく、対等な同盟関係に近づくべきだ」と書かれている。
国際社会から「危険な国」とみなされていた敗戦後の日本は、軍事・外交の権限を持たせてもらえず、代わりにアメリカが日本に軍事駐留し、安全を保障してやっていた。しかし、この状態はアメリカの負担が大きい。もう日本を信頼しても良い時期に来ているので、アメリカは日本に軍事的・外交的な自由裁量を与え、防衛技能を日本に教えるための施設共用のプロセスを経たうえで、米軍は出ていくべきだ、というのがアーミテージ・レポートの精神であると読みとれる。