from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

「油荒」その後

広州等であった「油荒」騒ぎは収まったのか、聞かなくなった。
日経に「中国の石油不足は経済体制転換期の現象」という分析記事がでた。これによると、

台風が来襲すると、石油不足が生じる。珠江デルタ(珠江河口エリアを中心とする中国華南地域)では、石油不足が一向に解消される気配がない。
最も基本的な三つの問題への合理的な解答は、まだ得られていないようだ。すなわち、
・石油不足は原因は何なのか?
・石油不足は今後も発生するのか?
・石油不足の再発を防ぐことはできるのか?
である。
この三つの問題への解答は、事実上、すべて一点に集約されるように思われる。つまり、現在、政府が価格統制を実施している石油供給体制は、いったい、いつ市場経済化を完了させるのかということである。したがって、珠江デルタの石油不足は、経済体制の転換過程の典型的現象に過ぎないと言える。
水は低きに流れるというが、商品としての石油に、この法則を当てはめるのは無理だろう。全国の石油の小売価格が一律であるため、北の石油を南へ運ぶコストを換算すると、華南は石油が最も低価格の地域ということになる。最も低価格の地域で石油が手に入らなくなるのは、別段不思議なことではない。ただ、過去に例のないほど深刻な状況に陥ってしまったのはなぜなのだろう。
その答えとして、短期的に見れば台風の影響が、長期的に見れば、石油価格の管理者である政府と石油会社の間の権利と義務の関係の変化が挙げられる。これまで石油価格は市場で決まっていたわけではないため、この権利と義務の関係を明確にするのは容易ではない。ただ、少なくとも双方が基本的に満足していた、ということが言える。
しかし、いったんその条件の一つが大きく変われば、メカニズム全体がスムーズに機能しなくなる危険性がある。まして現在のように条件の変化が一つにとどまらないとなると、なおさらだ。重大な変化を起こしている条件は、少なくとも次の三つがある。
(1)国際原油価格が昨年初めの1バレル30ドルから現在の67ドルまで2倍以上も上昇、(2)7月1日の原油・天然ガスに対する資源税の大幅引き上げ、(3)石油供給市場の外資および民間企業への開放開始――だ。

と。広州で深刻だったのは、石油の輸送コストが一番かかる地域だからということのようだ。
この問題の解決策は

今、経済体制は市場化へ転換中であり、問題が発生するのは、市場化への移行が不十分だからであり、解決策は改革の加速しかない。石油不足に際して、やみくもに手段を講じ、政府がこれまで行ってきた開放政策を後退させようと考えるならば、それは大きな過ちである。

というが、規制をやめれば、インフレになる。これをどうするんだろう。