from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

朝日新聞が「上海で数万人反日デモ 2邦人けが、総領事館の窓割れる」、産経新聞が「上海反日デモ数万人 店舗破壊最大の規模 2邦人けが、放火情報 総領事館に投石」と報じていた。数万人というと、「2,3万人」とも「5,6万人」とも受け取れる。文中では「中国国営新華社通信は英文でデモ参加者は数万人と報じた」と書かれている。朝日新聞では、中国国営新華社通信は、上海でのデモについて「万単位の中国人が最近の日本の動きに抗議し行進に参加した」と書かれている。延べ人数(どうやって数えた?)ということらしいけど、「5,6万人」の中国人が日本総領事館を取り囲んだと思う人もいるだろう。

共同通信社は、

上海市政府の報道官は16日夜、同日の反日デモについての談話を発表、「日本が侵略の歴史などの問題について間違った態度を取ったことが、人民の不満を招いた」と、日本側を批判した。中国当局が同日のデモについて談話を発表したのは初めてだが、日本人の負傷や料理店の破壊行為については、謝罪の意を示さなかった。

と報じている。また、「中川昭一経済産業相は17日、民放の報道番組に相次いで出演し、中国の反日デモについて『統制された暴徒だ』と指摘した」と。 もう反日デモに抗議する行動が始まっているようだが、エスカレートしそうだ。

「30歳女性会社員の気になるニュース」とブログで、日本に住んで数年経つ、同世代の中国女性に反日デモついてどう思うか聞いてみたら、

1)反日デモに参加しているのは高学歴の中国人
2)一番の問題は日本政府の態度
3)日本企業への怒り

と答えたとあった。デモを呼びかけたのは比較的暇な大学生達。中国に侵略したことを謝罪してるとは思えない政府指導者の言動。日本人従業員と対等な賃金や地位を与えない日本企業ということか。

毎日新聞の成沢健一記者は、

中国ではデモなどの政治活動が規制されている。89年の天安門事件前の民主化運動に参加した、当時の学生らをのぞけば、デモに参加した経験のある人はほとんどいないだろう。週末に大勢で街をデモ行進することはある意味で非日常的な娯楽活動でもある。インターネットや携帯電話のメールを通じてデモの呼びかけを知った参加者は、急速な経済発展に取り残された弱者というよりむしろ豊かさを享受している層が多い。
そんな彼らは、デモがふくれあがり道路脇に集まった住民らから声援を送られると、ヒーローにでもなったように声を高め、行動が徐々に過激になっていった。市場経済化の進展の中で、イデオロギー教育に代わって強化されるようになった愛国主義教育の影響もあるだろう。さらに報道や政治活動が厳しく制限されているという中国社会独特の閉塞(へいそく)感の中で、反日活動だけは当局が黙認していることが、活動を勢いづかせている。

と書いている。


河北新報ニュースでは、

中国広東省広州の日本総領事館によると、同省東莞にある電子部品メーカー「太陽誘電」(本社・東京都江東区)の現地法人工場で16日、労働者約2000人が歴史教科書問題などへの不満を訴えて大規模なストライキを行い、日の丸を焼いたり工場の窓ガラスや食堂施設を壊す騒ぎが起きた。
総領事館によると、ストは16日午前、賃金などの待遇改善を求める集会でリーダー格の2人が日本製品ボイコットなどを訴え始めたのを機に、大規模な反日集会に発展。工場側の通報で大量の治安要員が鎮圧に当たり、装甲車も出動した。

と報じている。

香港のメディアによれば、

デモ隊の一部からは、過激な行為に出ている人に対して、「暴力はやめるべき」との意見が少なからず出されたもよう。「中国人の素質にかかわる」と制止する場面も見られたという。ただし、石やペットボトルを投げる行為は、総じて後を絶たず、今回の一連の反日行動において、最大の規模と被害が出たことになった。

とある。

上海にいる妻が、日本人関連のお店や住宅が多い古北新区に買い物に行ってきた。私がよく行っていた日本食品店(ほかのブログの情報だとガラスを割られたようだ)やローソンはまったく被害を受けていなかったとのこと。「ストレス邦人包囲 日本語小さな声で」などと報道されているが、道ばたで日本語で話している人達も何人かいたという。このまま、沈静化してくれればいいのだが。

毎日新聞は、

中国で頻発する反日デモは17日、東北部で初めて遼寧省瀋陽市でも起きるなどさらに地方へ拡大し、事態収拾のメドがつかない状況になってきた。今後、中国は5日1日のメーデーを中心にした大型連休に入る上、5月4日は反日デモの起源ともいえる1919年の「五・四運動」記念日を迎えるため、過去の歴史と結びついた反日機運がさらに高まる危険性がある。

と報じている。北京や上海などの大都市では押さえ込めるかも知れないが、重慶などの地方都市では、不満分子が一杯いるからもっと大きな事件が起こる可能性がある。

日中外相会談が終わった。テレビ朝日は、

北京を訪れている町村外務大臣は中国の李肇星外相と会談し、反日デモによる被害などについて厳しく抗議しましたが、中国側は謝罪しませんでした。
町村外務大臣:「3週間連続して、大使館などへの破壊活動や、日本人への暴力行為があり、大変、遺憾な状態だと思っている」
李肇星外相:「中国政府は、これまで一度も日本国民に申し訳ないことをしたことはない。(今、重要な問題は、日本政府が)歴史問題など一連の問題で、中国人民の感情を傷つけていることだ」
会談は2時間あまり行われましたが、中国側は従来の主張を繰り返し、謝罪しませんでした。また、町村大臣が被害の補償や警備の徹底などを求めたのに対し、李外相は「中国政府は、いかなることを処理する際も法律に基づいて行う」と述べました。ただ、両国は、小泉総理大臣と胡錦涛国家主席との首脳会談を、22日からの国際会議の際に行う方向で最終調整することで一致しました。

と伝えた。この結果は、日本がなんらかのアクションを取らないと、反日デモは収まりませんよと言われたようなものだ。

Sankei Webで、日中協会会長(元自治相)の野田毅さんが、

  • 官製デモという見方があるが、実際は(中国政府が)強く規制しなかった。
  • 中国には日本は真剣に戦前のことを反省していないという認識がある。
  • 彼らは、日本はうわべでは謝っていても真剣に反省していないと思っている。
  • 日中の国交正常化の原点は、「先の大戦の責任はA級戦犯にあり、一般の国民には責任はない」という理屈で中国が戦後賠償を放棄した。
  • 首相の靖国参拝は中国から見ると、A級戦犯の名誉を回復し顕彰しようとするばかりか、日本が国交正常化の原点を否定しようとしているように見える。
  • 中国政府も、逆に日本国民がなぜ、靖国参拝を支持するのかを知る必要がある。
  • 現在の状態が続けば、日本にも反中、嫌中が広がり、中国にとって明らかにマイナスだ
  • 中国政権内部にもそろそろ、江沢民(前国家主席)時代の愛国教育などのやり方から変えていこうという新思考がある。
  • しかし、日本から変えてくれと言われて変えることはできない。中国政権内部の新思考の人たちが動けるようにしなければならない。首相の靖国参拝は妨げ。
  • 中国は確実に変わっていく。日本も長期的戦略をもって外交をやるべきだ。
  • 自国の利益を最終的に実現することが外交であり、自分の言いたいことや、やりたいことだけをやるのが外交ではない。

と言っている。しごくまともな意見だ。