from上海to東京

子育ての日々の断片を書き綴る

もう八方塞がりなのか

ロイターブログ「田巻一彦:米金融システムの闇」から。

ガイトナー米財務長官が10日に新しい金融安定化のための対応策を発表したが、米株式市場は失望感をあらわにして大幅下落となった。11日の市場は小康状態を保ったものの、オバマ政権の打ち出す金融システム対策への視線は、これまでに比べ厳しさを増す可能性が高まってきた。
マーケットが失望した点は、いくつかあるようだが、官民共同で資金を拠出して設立し、不良債権などを買い取るファンドの詳細が明らかにされなかったことが大きく響いているらしい。
10年前の日本の不良債権処理を陣頭指揮した前金融庁長官の五味廣文氏は、12日朝の民放テレビの中で、今回のスキームでは、米金融機関にどのくらいの不良債権があって、どれくらいの損失が生じるか、すぐにははっきりしないために、マーケットに疑心暗鬼が生じた、と指摘していた。
米国の金融システムや金融界の状況に詳しいある国内市場関係者は、米金融機関の保有する不良債権と損失額が膨大で、早期に処理しようとすれば、米の財政力ではカバーできないことを市場から見透かされるリスクがあるため、意図的にゆっくりと処理する作戦に出た可能性が高いと指摘している。
オバマ政権とも近いクルーグマンプリンストン大教授は、米テレビ番組の中で、米金融システムの抱える損失額は、1.5兆ドルから5兆ドルのレンジで生じる可能性があると述べたという。
先の市場関係者は、今後発生する米住宅価格の下落で生じる住宅ローンの価値目減り分だけも、5兆ドル程度が不良債権化する可能性があり、その上にオートローン、教育ローン、クレジット・カードの不良債権化まで含めれば、潜在的な不良債権の規模は、相当な規模に膨れると分析している。

BPnet「大前研一:相当に危ういオバマ政権の経済認識」から。

オバマ氏はこれほどの巨額の公的資金でもって、所得減税、法人税の引き下げ、インフラの再構築、グリーンエネルギーの普及、各州への援助など、さまざまな景気刺激策を行おうとしている。だが、こうした「ばらまき」の効果がそれほど期待できないことは、当連載でわたしが繰り返し述べてきたことだ。効果が表れないのであれば、1トリリオンドルという巨額は途方もない「散財」になって借金として残ってしまうのである。それは、基軸通貨ドルの信任喪失ということにもなるし、米国自体の国力が衰退するというシナリオにも直結する。