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子育ての日々の断片を書き綴る

文化論争とスターバックス

産経新聞【潮流】今さら「故宮のスタバ」論争』(2007/01/23)

今月12日、国営中国中央テレビの人気キャスターがブログで「視覚汚染だ」「これはグローバル化ではなく中国文化の侵食」「星巴克は故宮から撤退してください」と批判した。瞬く間にアクセスは数十万件にのぼり、「故宮の星巴克は現代商業ウイルス」などの非難がネットで広がった。
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国で約200店、今年末までに計約300店の展開を計画するなど中国で大成功を収めるスターバックスは、批判勢力にとって中国文化を浸食する外国文化、外国ブランド、外資の象徴に映る。「スタバ族」という言葉を生み、コーヒー文化を浸透させたスターバックスは、中国伝統のお茶を楽しむ「茶館」文化を追い越したようにも感じられる。
今回のような論争は、2000年に南京の孔子廟内のマクドナルド、2003年には北海公園内のケンタッキー・フライドチキン(撤退済み)など過去にもあった。だが当時、声高に叫ぶのは中国好きの外国人と一部知識人ぐらいだった。「故宮の星巴克」問題が国営メディアも巻き込んだ大論争に発展したのは、中国当局の文化統制政策を多分に反映しているのではないだろうか。


CNN.co.jp「文化論争招いた故宮内の店舗を閉鎖、米スターバックス

北京――米コーヒーショップ大手、スターバックスは14日、世界文化遺産でもある北京の故宮(紫禁城)の中で営業していたチェーン店の閉鎖を発表した。中国中央テレビなど中心に、伝統文化をじゅうりんしているなどとして撤去を要求する声が強まっていた。
閉鎖は13日で、故宮の管理当局が発表した施設内の商店は今後、紫禁城のブランド名を付けて営業するとの方針に従ったとしている。ただ、スターバックスの名前を使わずに営業を継続出来るとの選択肢も与えられていたという。
このスターバックス店は2000年、施設の維持管理資金のねん出を狙った故宮側の要望に応じた形で開店していた。
スターバックスは1999年に中国に進出、現在は全国に250店舗を展開する。

東京新聞北京・故宮のスタバ撤退 「文化侵食」批判受け

スターバックスは故宮側の要望で二〇〇〇年に開業。座席は六席だけの小さな店舗だが、今年一月に中国の著名キャスターが自身のブログで「西側消費文化の店は世界文化遺産の故宮にふさわしくない」と撤退を求め、市民から同調する意見が相次いでいた。
故宮で十四日、知人の米国人を案内していた中国人男性(38)は「スタバなんて北京のあちこちにあり、中国人も愛用している。故宮から追い出す発想は間違った民族意識だよ」と話していた。

JMM「たかがコーヒー、されどコーヒー」:現地メディアに見る中国社会

「ブルーマウンテンコーヒーを故宮コーヒーと呼び、蘇州刺繍を故宮刺繍に名を変えさせ、江南地方で生産されたお茶を天尊御緑茶とすれば、故宮の『お味はゆたか』になる。それを幼稚な考え方というべきか、それとも商業利益に目がくらんで常識が欠落していると見るべきか。そんな考え方で文化遺産を保護し、開発しようというのであれば、行き着くところは目に見えている」(「蔡方華:スターバックスは故宮を去った、で?」北京青年報・7月16日)
実は一般にはあまり語られていないが、故宮は年間4億元に上る入場料収益を上げている一方で、西洋人が運営する基金が故宮内にあり、その修復や保護のための費用や技術を海外で募っている。もちろん、かつてその値上げが論争を引き起こした、中国人にはちょっとお高い入場料には多く外国人観光客が支払うそれも含まれている。そして、もちろん、スターバックスはきちんと故宮と契約を結び、店舗使用料を納めていた。……つまり、とっくに「西洋」は故宮に深く浸透しているのである。